紅葉が見ごろを迎える11月なると京都ではお火焚祭(ひたきまつり)や柴燈護摩供(さいとうごまく)、いわゆる火祭が多くの寺社で行われます。
願いがしたためられ奉納された火焚串や護摩木によるお火焚や、奉納されたものをお焚き上げする行事などなど、あちらこちらの寺社で浄化の炎が境内を赤く染めます。
またこの時期に京都の和菓子屋さん・餅屋さんでは「お火焚饅頭」が店頭に並びます。小さい紅白の饅頭に、火炎宝珠の焼き印が押された厄除け招福の願いの込められたものです。
お火焚祭のお下がりとして「みかん・三角のおこし・お火焚饅頭」がいただけるところもあり、みかんはお火焚の火で焼いて食べると一年間風邪を引かないといわれ、おこしはその年の新米で作られ三角は火を表しているそうです。
お火焚祭の由来は諸説あるようですが、宮中で行われる「新嘗祭(収穫祭)」に由来するともいわれ、その年に穫れた穀物を神様にささげ、五穀豊穣を感謝して厄除けを祈念し、また厳しい冬に向けて火を焚いて、火の恩恵にも感謝します。
かつては火を扱う家業の方はそれぞれの家で庭火(にわび/神事に焚かれるかがりびのこと)を焚いて、「みかん・三角のおこし・お火焚饅頭」をお供えし、祈念していたようです。
火床の形も様々で火焚串がかまど型に組まれたもの、井桁に組まれたもの、円形に組まれたもの、藁を立て豊凶を占うものなどなど。
お祭り自体も観光客が押し寄せ盛大に行われるものから、地元の氏子さんに向けて行われているアットホームな雰囲気のものまで。
またお寺では山伏さんが法螺貝を吹き、神社では御神楽の奉納や湯立神事などが行われるところもあり、火床にみかんを投げ入れ参拝者がそれを拾っていただく、焼ミカンを楽しみにしている方も多いようです。
俳句の季語になるほどのこの季節ならではの伝統行事。それぞれに内容も雰囲気も異なりますので、お好きなところで祈念されるとよいでしょう。
※基本は火祭で、湯立神楽や湯立神事は笹で熱いお湯がまかれますので、くれぐれもやけどにはお気を付けくださいませ。
お火焚・お焚き上げ・柴燈護摩供
地域別、開催日順にご紹介してゆきます。
※なお日時、時間は変更になる場合もありますのでご了承くださいませ。
基本は11月ですが、10月・12月に行われるところも数か所含まれています。
番外編として、毎年11月1日~30日(11:00~13:00)まで、冨田屋さんでは「町屋のお火焚き」と題して文化体験ができます。
町家の見学としきたりのお話を聞き、お火焚きの行事として願いを護摩木に書きます。またお火焚きにまつわるお食事を頂きます。
ご興味のある方は、冨田屋さん公式サイトをご覧ください。
JR京都駅から各所へのアクセス方法と地図は2019 京都でお火焚祭(おひたきまつり)へアクセスページでご紹介しています。
洛北
狸谷山不動院 | 秋まつり 3日 |
11:00~柴燈護摩 おつながり参拝 ※10:00~先着1000名に力だんごの無料接待があります。 |
貴船神社 | 御火焚祭 ・御日供講員大祭 (おにっくこういんたいさい) 7日 |
11:00~ 御火焚祭は、神の恵みに感謝を捧げ更なる御加護を願う祭典であり、火による「祓・はらえ」の神事であり、貴船大神がよみがえることで「常若・とこわか」を果たす神事です。 貴船神社の御火焚竈は、直径約2m×高さ約1.5m中心部は空洞になっていて、上方に丸みをもたせる特殊な形をしています(かまど型)。お火焚直前に全国より奉納された1万本の御火焚串を氏子若衆が根気よく積み上げます。 |
由岐神社 | 9日 |
20:00~ ※由岐神社では10月22日18:00~行われる鞍馬の火祭のほうが有名です。 皇室の守り神として京都御所内でお祀りされていた神社が、鞍馬の地にご遷座された時の様子を再現したお祭りで、京都三大奇祭の一つです(残りは今宮神社・やすらい祭/広隆寺・太秦の牛祭) 「神事にまいらっしゃれ」との合図で、集落の各戸に積み重ねられた篝に一斉に点火され、小松明を抱えた少年に続き、青年たちが大松明(約4m・100㎏)を担いで「サイレイ、サイリョウ」と囃しながら集落を練り歩きます。 |
赤山禅院 | 数珠供養 23日 |
10:00~ 比叡山の別院で千日回峰行を満行した大阿闍梨のご祈祷で、全国から寄せられた数珠がお焚き上げ供養されます。 |
出雲井於神社(いずもいのへのじんじゃ/下鴨神社境内摂社) | お火焚祭 28日 |
14:00~ 井於とは川のほとりの意で、出雲郷の鴨川のほとりに座す神社が社名です。この神社の周りにはどんな木を植えても葉が柊のようにギザギザになってしまうといわれることから「柊社」とも呼ばれます。 |
長谷八幡宮 | 御火焚祭 28日 |
19:00~ 神事ののちに藁で組まれた火床に点火され、その藁の倒れた方向で来年の豊凶を占います。 |
鷺森神社(さぎのもりじんじゃ) | お火焚き・湯立神楽 12月5日 |
15:00~ 祝詞の奏上ののち火床が焚かれ、巫女さんの舞の奉納、つづいて湯立神事が行われます。 |
松ヶ崎 新宮神宮 | お火焚祭及び勧農祭 12月8日 |
14:00~ 農作物の収穫に感謝する勧農祭に続いて、大きな輪に組まれた火床が焚かれ火焚串が次々を投げ入れられます。 野菜汁の無料接待や即売会なども行われます。 |
洛西
向日神社(むこうじんじゃ) | お火焚祭 10月第二日曜日 |
14:00~ 無病息災を祈念して、円形に組まれた大きな火床で約2万本の火焚串が焚かれます。 ※10月に行われるのですが、火床が大きいので掲載しておきます。 |
不思議不動院 | 秋季大護摩大祭 第二日曜日 10日 |
「不思議之谷の不思議さん」と呼ばれ冬至のカボチャ供養で知られます。 |
広隆寺 | 聖徳太子御火焚祭 22日 |
13:00~法要後、護摩供養 境内に斎竹(いみだけ)が立てられ、参拝者によって数万の護摩木が焚かます。 聖徳太子の命日とされるこの日に本堂に安置されている本尊の秘仏聖徳太子像(9:00~16:00)と、霊宝殿に納められている秘仏薬師如来像が年に一日だけ開扉(9:00~17:00)されます。 |
車折神社(くるまざきじんじゃ) | 火焚祭 23日 |
13:00~ こちらの神社の火焚祭では「かまど」の守護神である奥津彦神・奥津姫(おきつひこ・おきつひめ)の二神を迎え、古式にのっとり、奉納された火焚串をかまどの形に組み上げて四方の焚き口から火を着ける「かまど祓」の神事が行われます。 祭典終了後に参拝者・見学者に新米のお粥が無料で振舞われます(なくなり次第終了)。 |
平岡八幡宮 | 創祀祭 お火焚き祭 23日 |
14:00~ 一年間に奉納された祈祷木や絵馬が焚き上げられ、参拝者全員に御神酒、饅頭、みかんが無料で授与されます。 |
金閣寺 不動堂 | 大護摩供奉修 28日 |
13:00~ 金閣寺境内の不動堂前で山伏の方々によって大護摩供奉修が行われます。 |
十輪寺 | 塩竃清祭 23日 |
13:30~ ※こちらはお火焚祭ではないのですが、平安の歌人・在原業平が遠く難波の海から海水を運ばせ、山中で塩を焼いて立ち上る煙の風情を楽しんだという塩竈(復元)で、この釜を清めるための火入れが行われます。 僧侶による勤行の後に塩竈に火が入れられ、煙が立ち上るなか塩がまかれます。三弦の演奏に合わせて声明も披露されます。 |
洛中
若一神社(にゃくいちじんじゃ) | 若一講大祭・お火焚祭 10日 |
14:00~ 800年以上の歴史があると伝わるお火焚神事です。 |
武信稲荷神社 | 御火焚祭 第二日曜日 10日 |
15:00~ 本殿祭典ののち、奉納された火焚串が火床で焚き上げられます。また焼ミカンがいただけます。 |
市比賣神社(いちひめじんじゃ) | 中旬 |
全国より寄せられたお火焚串が神前で焚き上げられます。 女神さまをお祀りしていることから、女性の守り神として特に「女人厄除」で信仰される神社です。 |
法雲寺(菊野大明神) | 中旬 |
13:30~ 護摩木供養が行われます。 小野小町のもとに百夜通いをしていた深草少将が、あと一夜を残して亡くなくなった無念の思いがこもった「縁切り石」が御神体としてまつられています。 |
上御霊神社(かみごりょうじんじゃ/御霊神社) | 御火焚祭 18日 |
13:30~ 神職によって祝詞が奏上され、巫女さんによる刀舞の奉納ののちに、湯立神楽がお奉納されます。 井桁に組まれた6組の火床が焚き上げられ、数量限定でお下がりがりと湯立神楽で使用された笹が授与されます。 |
下御霊神社(しもごりょうじんじゃ) | 御火焚祭 18日 |
14:00~ 神事ののちに火床が焚かれ、続いて湯立神事が行われます。 |
晴明神社 | 御火焚祭 23日 |
11:00~ 10月下旬になると募集がされますので、興味のある方は公式サイト、または晴明神社(社務所 075-441-6460/9:00~17:30)へお問い合わせください。 |
建勲神社 義照稲荷 | 御火焚祭 23日 |
11:00~ 建勲神社(正式にはたけいさおじんじゃ・通称けんくんじんじゃ/けんくんさん)の境内末社です |
神泉苑(しんせんえん) | 23日 |
14:00~ 境内の増運弁天社にて、諸願成就祈念のお火焚が行われます。 |
白峯神宮 | 御火焚祭 23日 |
18:00~ 心願成就・家内安全・除災招福など様々な願いの込められた「願い串」が大祓祝詞の奏上とともに焚き上げられます。 新嘗祭・献茶祭・日供講祭・潜龍社祭も同じ日に行われ、新酒の白酒(しろき)がいただけます。 |
護浄院 清荒神(ごじょういん きよしこうじん) | お火焚きと柴燈大護摩供 28日 |
14:00~ 行者さん(山伏さん)に続きかわいいお稚児行者(山伏の扮装をしています)が氏子町内をお練りし、境内に戻って護摩壇の前で四方と鬼門に弓を放ってお祓いののち、護摩壇に点火されます。 京の七口の一つ、荒神口の地名の由来となったお寺で、「こうじんさん」と呼ばれ親しまれています。 お堂には「厄除開運火箸」と書かれた大きな火箸が掲げられ、火箸の授与もあります。 |
清浄華院(しょうじょうげいん) | 鎮守社 御火焚祭 28日 |
15:00~不動興護摩会(月例) 清浄華院の鎮守社である山王大権現に日ごろの感謝をささげ、寺門の興隆や参拝者の無業息災・火災除けなどが祈念されます。 小さく組まれた火床には、途中ミカンが投入され、ぜんざいのお接待とともに参拝者に配られます。 |
洛南・山科
藤森神社 | 秋季大祭並火焚 5日 |
10:00~ 本殿で祝詞の奏上や神楽の奉納などののち、本殿前の火床で奉納の火焚木を焚いて神事を行い、氏子の方々の安全が祈念されます。 |
伏見稲荷大社 | 火焚祭 8日 |
13:00~お焚き上げ 秋の収穫の後に、五穀豊饒を稲荷大神に感謝する祭典です。 京都で最も規模が大きく有名なお火焚でしょう |
花山稲荷神社 | ふいご祭・火焚祭 第二日曜日 10日 |
14:30~ 伝説の刀「小狐丸・こぎつねまる」を作る際に三条小鍛冶がご加護を祈念したところ、相槌を打って援けたのが稲荷大神と伝わります。(このことから稲荷神をまつる神社ではここがその神社ですとしているところが多数あります。) 火床の勢いが静まってきたころにみかんが投げ入れられ、火焚祭の神火に触れたみかんを食べると、年中風邪をひかないといわれることから参拝の方々が競って拾います。 |
折上稲荷神社 | お火焚祭(長命祭) 第二日曜日 10日 |
長命祭は孝明天皇に由来する、働く女性又働き頑張ってこられた女性を中心に長命を 願い感謝し、火の霊力によりすべての不幸を焼き尽くし、諸願成就を祈念します。 当日はキツネのお面をつけた巫女さんによる湯立て神楽と火焚き神事が行われます。 ※今年は天皇陛下即位記念として10月1日~11月4日まで、当日の御祈祷を申し込むと後日お下がりとして「長命お守り・長命おきつね様の各1体」が授与されます。(6000円~・おきつね様はおりがみでできた狐です) |
御香宮神社 | 火焚祭 15日 |
16:00~ 拝殿前に建てられた一対の藁に忌火(いみび・神聖な火)で点火され、神職の御祈願ののちに火床に点火、奉納された数千本の火焚串が焚き上げられます。 |
宝塔寺 七面大明神 | 火焚祭 19日 |
14:00~ 法要ののち護摩壇で護摩木が焚き上げられます。 源氏物語ゆかりの地で仁王門天井に250枚もの牡丹の絵が描かれた「花天井」でも知られます。 |
城南宮 | 火焚祭 20日 |
14:00~ 奉納された1万本に及ぶ火焚串が忌火(清浄な火)で焚き上げられます。 |
洛東
禅居庵(建仁寺塔頭) | 柴燈大護摩供 10月20日 |
14:00~ イノシシいっぱい禅居庵で行われる柴燈大護摩供です。 |
戒光寺(泉涌寺塔頭) | 泉山融通弁財天大祭 3日 |
13:00~百味練供養(稚児行列) *境内にある秘仏泉山融通弁財天像が終日公開されます ご本尊の釈迦如来立像は運慶・湛慶親子の合作と伝わる像高約5.4m、台座~光背部までの全長は約10mの丈六像です。泉涌寺まで続く参道にある小さなお寺ですが、素通りするのはもったいない!お寺です。 |
竹中稲荷社(吉田神社境内末社) | 秋季大祭と御火焚祭 3日 |
13:30~ 神職による祝詞の奏上などののち、かまど型に組まれた火床が焚き上げられます。 |
満足稲荷神社 | 8日 |
14:00~ 祝詞の奏上や巫女さんの舞の奉納ののち、湯立神楽も奉納され火床が焚き上げられます。 |
安井金毘羅宮 | 御火焚祭 10日 |
11:00~ 祝詞が奏上されたのちに、護摩木が小さく井桁に組まれたものが3つ用意された火床で、お焚き上げが行われ参拝者も次々と護摩木を投げ入れていきます。 ※当日護摩木を奉納して、最後まで参列した方にはお下がり「お火焚饅頭・おこし」がいただけます。 |
今宮社(吉田神社境内末社) | 御火焚祭 14日 |
14:00~ かまど型に火焚串が積まれた火床が焚かれ、神事が行われます。 |
新日吉神宮 | 火焚祭 14日 |
15:00~ 祝詞の奏上ののちに湯立神楽が奉納され、火床が焚かれます。 火の勢いが収まってきたところでみかんんが投入され、焼ミカンと湯立神楽に使われた笹が数量限定で授与されます。 |
法住寺 | 身代不動尊大祭柴燈大護摩供 15日 |
13:00~邦楽の奉納 仏法興隆、万民豊楽、家内安全諸願成就を祈願する採灯大護摩供が行われます。 |
京都ゑびす神社 | お火焚祭 16日 |
14:00~ 湯立神楽が奉納され、信者崇敬者の名前が書かれた「片木・へぎ」が焚かれ、家内安全・無病息災・商売繁盛が祈念されます。 |
合槌稲荷神社(あいづちいなりじんじゃ) | お火焚祭 17日 |
三条通り通りを挟んで粟田神社の一の鳥居の向かいにある小さなお社です。 お火焚祭は向かいの粟田神社の宮司さんによって行われます。また御朱印も受けられますが、こちらも粟田神社の社務所にて受付されています。 ※なお小狐丸やそれを鍛えた三条小鍛冶宗近ゆかりと伝える神社はほかにも複数あります。 |
新熊野神社 | 火焚祭 23日 |
11:00~ 新熊野神社は紀州熊野に生涯で34回も参詣されたと伝わる後白河法皇によって創建された神社です。熊野詣といえば山伏さん。 |
正覚庵(東福寺) | 筆供養 23日 |
1300~法要ののち筆神輿の巡行 「筆の寺」とも呼ばれる通常非公開(団体予約のみ)のお寺で行われる祭事です。 |
粟田神社 | 新嘗祭並びに火焚祭 23日 |
14:00~ 神事ののちに、かまど型に火焚串が積まれた火床が焚かれ、お下がりやお神酒がいただけます |
地主神社 | もみじ祭 23日 |
14:00~ 秋の豊作と縁結びのご利益に感謝し、家内安全・商売繁盛を祈願するお祭りです。美しい紅葉を手にした巫女さんが、の神楽を奉納します(もみじの舞・剣の舞・扇の舞)。 お火焚の神事も行われ健康・病気平癒も祈願します。 |
瀧尾神社 | 新嘗祭・火焚祭 11月最終日曜日 24日 |
14:00~ 舞殿の龍の天井彫刻(約8m)など境内に数々の見事な彫刻のある神社です。 祝詞の奏上、巫女さんによる舞の奉納などののち、小さくかまど型に積まれた火床が焚かれ、祭壇にささげられていた神饌が次々と火床に投げ入れられます。 |
三十三間堂 | 久勢稲荷社 お火焚祭 24日 |
14:00~ お堂前庭の大きな護摩壇にて、僧侶と山伏の方々によって柴燈護摩供が厳修されます。 当日は13:00~甘酒のお接待があります。 |
濡髪大明神(知恩院) | 濡髪大明神大祭 25日 |
14:00~ 多くの僧侶によってお勤めがなされたのち、一年間に奉納された願いのこもった護摩木がお焚き上げされます。 |