5~6世紀ころ、渡来系氏族・秦氏が松尾山の神を氏神様として祀りこの地方を開拓したと伝わります。 室町時代以降には「日本第一酒造神」として信仰されるようになり現在に至ります。
松尾大社の見どころとアクセス
人気の嵐山・嵯峨野から渡月橋を南へ渡り、阪急嵐山駅から一駅にある、お酒の神様として知られています。境内に約3000株の山吹が植えられ、春から初夏にかけて境内を横切る一ノ井川沿いは川にかかるように可憐な黄色い花が咲き誇ります。
有料エリアにある松風苑三庭は重森三玲作庭で、「曲水の庭」「上古の庭」「蓬莱の庭」からなります。曲水の庭は曲水の宴を思わせ、上古の庭は松尾山山上にある磐座を表現し(かつてはこちらから山上へ登拝できましたが、台風の被害によって参拝道が修復不可能になり残念ながら参拝できなくなりました)、蓬莱の庭は仙人の住む蓬莱山を表した池泉式の庭で、それぞれ違った表情を見せる名庭です。
追記:2019年6月15日~9月14日まで葵殿・神像館と周辺の廻廊の工事が行われます。それに伴い上古の庭(6月15日~9月14日)・神像館(6月17日~6月22日)が拝観停止になりますのでご注意ください。
拝観時間・拝観料など
境内自由 お酒の資料館無料 |
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御祈祷受付 | 9:00~16:00過ぎまで | |
松風苑三庭と神像館 | 9:00~16:00(日曜祝日9:00~16:30) | 松風苑三庭(3つの庭園)と神像館共通 大人500円学生400円子供300円 |
非公開・重要文化財・本殿特別参拝 | 10:00~・11:30~・13:30~・14:30~ | 1000円(幼稚園児以下は無料) |
JR京都駅からのアクセス
1・市バス28系統(嵐山・大覚寺行き)で「松尾大社前」下車してすぐ
2・地下鉄烏丸線(国際会館行き)で「四条駅」下車して、北にある「阪急烏丸駅」で(梅田行き)に乗り換え「桂駅」へ、さらに(阪急嵐山行き)に乗り換え「松尾大社駅」下車してすぐ。
松尾大社の周辺地図
大杉谷の磐座と秦氏
四条通の東端には八坂神社があり反対の西端にあるのが松尾大社です。 背後にある松尾山にかけ広大な社域を有し、祭神の大山咋神(おおやまくいのかみ)は 元はこの山の山頂付近、大杉谷の磐座に祀られていました。
天皇の勅命によって秦忌寸都理(はたのいみきとり)が 山上に祀られていた神を現在の地に勧請し、社を創建したと伝わります。 娘の知満留女(ちるまめ)が斎女となり奉仕し、以後明治の頃まで子孫が代々神職を務め 賀茂社が「東の厳神」と呼ばれたのに対し、「西の猛霊」と呼ばれ 平安京遷都後の西の王城鎮護の神とされていました。
古くより歴代天皇による崇敬を集め、行幸参拝された天皇も数多くまた源頼朝をはじめとする武家からも信仰され 足利義政や豊臣秀吉も神馬を献上したと伝わります。
延命長寿・蘇りの霊泉、霊亀の滝と亀の井
松尾山は七つの谷に分かれていて、社務所裏の御手洗川には霊亀の滝がかかります。 この滝の手前にある「亀の井」は延命長寿・蘇りの霊泉として有名で、この水を使ってお酒を仕込むと腐らないといわれています。
松尾大社では古来神様が保津川をさかのぼりこの地を開拓される際、急流は鯉に、緩やかな流れでは亀に乗って進まれたと伝わり、 神の使いとして亀と鯉が祀られます。
滝の北に大杉谷がありさらに急な坂を登ると大きな岩(磐座)があります。 今でも登拝することができます、2人以上の許可制で天候やサルの出没によっては禁止されることもありますので、問い合わせ先はこちら。(075-871-5016) なお受け付けは9:00~15:00、16:00までに必ず下山の報告をし 初登拝の時には1000円の初穂料が必要です。
追記:2018年の台風21号は各地で多くの被害をもたらしました。こちらも被害を受け磐座への参拝道が修復不可能となり、残念ながら今後登拝できなくなりました。
庭園は重森三玲によるもので、上古の庭・曲水の庭・蓬莱の庭と三つに分かれ 松尾山を借景にした回遊式の庭園になっていて、それぞれに美しい表情を見せる お庭好きにお勧めしたい穴場スポットです。 また亀の井や霊亀の滝はこの庭園から続いています。
日本最古の御神像
合わせて神像館も拝観でき、日本最古と伝わる三神像をはじめ 数々の御神像が祀られています。
酒造の際に「亀の井」の水を混ぜると酒が腐らないと言われ 古くより酒造に携わる方たちから信仰され、今でも境内には沢山の酒樽が奉納され お酒の資料館もあります。
隣にある「京つけもの・もり」では漬物が、「京菓子司・松楽」では名物の酒まんじゅうなどが販売されています。 またお休憩処「団ぷ鈴」ではみたらし団子やソフトクリーム、お蕎麦や霊泉「亀の井」の水を使ったお酒などがいただけます。 (以前訪れた時には、しっかり抹茶の味がするソフトクリームを美味しくいただきました)
樽に向けて弓矢を射る「樽うらない」があり、的になっている樽に矢が入ればキーホルダーなどがいただけます。お酒にまつわるお守りなどもありますので、お酒好きな方は是非どうぞ。
おいで(神幸祭・神輿渡御祭)とおかえり(還幸祭)
毎年4月20日以後最初の日曜日には、松尾七社のお神輿と唐櫃が桂離宮の辺りで桂川を渡って西七条御旅所や末社に留まり、三週間後の日曜日の還幸祭(おかえり)でお戻りになります。葵や桂を飾るので古くから葵祭とも呼ばれていました。
お祭りについてはこちらに詳しく紹介されていますので京都駅西部エリアまちづくり協議会のサイトをご覧くださいませ。