この時期の定番になった「京の冬の旅」。文化財の特別公開のほか定期観光バスの特別コースやものづくり体験など、楽しいイベントが盛りだくさんです。ここではその中で文化財の特別公開情報を紹介します。
第53回京の冬の旅が1月10日～3月18日まで開催されます。
平成最後になる今回は「京都にみる日本の絵画 ～近世から現代～」がテーマです。9月にはじめて日本で開催されるICOM(アイコム)KYOTO2019(国際博物館会議京都大会)に先駆けて、京都に残る名画の数々が各所で公開されます。また今年は狩野山楽生誕460年・長谷川等伯生誕480年を記念してゆかりの絵画を所蔵している寺院では特別公開が行われます。
公開されるのは
建仁寺(正伝永源院・両足院・霊源院)／智積院／東福寺 光明宝殿／大徳寺 本坊／相国寺 慈照院／本法寺／善想寺／妙心寺(天球院・麟祥院・龍泉菴)／仁和寺(金堂・経蔵) ／転法輪寺／東寺 五重塔の15カ所です。
お寺は基本・靴を脱いで板の間や畳の上を歩いての拝観になりますので、厚手の靴下等で寒さ対策をしていくと良いでしょう。
スタンプラリー
15ヵ所の中から3ヵ所を拝観してスタンプを集めると、指定の場所で「ちょっと一服」(お茶とお菓子など)の特典が受けられます。
スタンプ用紙は各拝観受付場所等でいただけます。もらった用紙に拝観料を支払うときにスタンプを押してもらって、3か所そろったら以下のうちのお好きな場所で特典が受けられます。
お接待場所
本家八ツ橋・八坂店／本家八ツ橋・清水南店／清水一芳園／俵屋吉富「京菓子資料館」／京洋菓子司 ジュヴァンセル祇園店／
洛南会館「喫茶やまぶき」／京湯元 ハトヤ瑞鳳閣「レストラン栄寿庵」／花園会館「花ごころ」／御室会館「和食処 梵」／青窯会会館
そのほか、JR京都駅ビル２階の「京都総合観光案内所(京なび)」で記念品との引換えもできます。
追記：2016年京の冬の旅／2018年京の夏の旅／2019年京の夏の旅はこちらのページをご覧ください。
2020年京の冬の旅はこちらのページをごらんください。
共通の基本情報
こちらは共通の基本情報です。寺院によって期間・時間・料金が異なる場合がありますので個別の詳細は下の表をご参照ください。
| 期間 | 時間 | 料金 |
| 2019年1月10日(木) ～3月18日(月) |
10:00～16:30 (16:00受付終了) |
1ヶ所 600円 |
公開施設ごとの詳細
拝観・見学休止日・時間・料金などは異なる情報のみ掲載しています。空欄のところは上記の基本情報通りです。
| 寺院名 | 拝観・見学休止日・時間・料金など | 公開内容 |
| 建仁寺・正伝永源院 京の冬の旅5年ぶり |
1月10日(木)～27日(日) 3月1日(金)～18日(月) |
織田信長の弟で大名茶人の織田有楽斎と、熊本藩主・細川家の菩提所です。有楽好みの茶室や狩野山楽筆の障壁画などが公開されます。 |
| 建仁寺・両足院 京の冬の旅5年ぶり |
約300坪の庭園は枯山水・池泉庭園からなり、茶室「水月亭」「臨池亭(りんちてい)が建ちます。長谷川等伯筆「水辺童子図(みずべどうじず)」や「竹林七賢図(ちくりんしちけんず)屏風」のほか、伊藤若冲(じゃくちゅう)筆「雪梅雄鶏図(せつばいゆうけいず)」が特別展示されます。また如拙(じょせつ・妙心寺退蔵庵の瓢鮎図で知られます)筆と伝わる、孔子・釈迦・老子を描いた「三教図」(重文)や「しろき観音像」(初公開)など貴重な寺宝が展示されます。 | |
| 建仁寺・霊源院 | 「五山文学」(鎌倉時代から室町時代に、禅僧によって発展した漢詩文)の最高峰とされた建仁寺の塔頭寺院です。「中巌円月(ちゅうがんえんげつ)坐像」(南北朝時代・重文・高僧の木造座像)と、その胎内仏であった「毘沙門天立像」(運慶の子・湛慶作)が公開されます。毘沙門天は左手に掲げた水晶の中に、最澄が持ち帰ったという仏舎利が納められています。霊源院で出家した今川義元の生誕500年を記念して、義元筆の書状・織田信長筆書状・千利休筆書状、細川幽斎筆書状・狩野山楽筆「布袋像」などが初公開されます | |
| 智積院 | 2月28日まで 9:00～16:30(16:00受付終了) 800円 |
長谷川等伯生誕480年記念を記念して 等伯とその子・久蔵が描いた、国宝の障壁画が公開されます。かつて祥雲寺(豊臣秀吉が幼くして亡くなった鶴丸のために建てた寺院)の客殿を飾っていたもので、「桜図」は久蔵25歳の時の作。「楓図」は夭逝した久蔵を悼み等伯が描いたといわれる傑作です。宸殿では京都画壇の巨匠・堂本印象が描いた「婦女喫茶図」「松桜柳(しょうおうやなぎ)の図」などの障壁画が特別公開されます。 |
| 東福寺 光明宝殿 京の冬の旅30年ぶり |
3月1日(金)～18日(月) | 紅葉で名高い寺院です 特別公開の光明宝殿では、開山塔院・普門院方丈を飾っていた狩野派の渡辺了慶(わたなべりょうけい)筆と伝わる「柳松遊禽(ゆうきん)図」「桜梅遊禽図」「籬(まがき)秋草図」（いずれも重文）などの金碧障壁画のほか、円山応挙、久保田米僊(べいせん)の画が展示されます。 またかつて三門(国宝)に安置されていた像高約3.4mの「二天王立像」(重文)や、運慶作と伝わる金剛力士像(重文)、白河法皇の皇女ゆかりの定朝様の阿弥陀如来像(重文)など仏像の数々も特別公開されます。 |
| 大徳寺 本坊 | 1月16日(水)～18日(金)・21日(月)、2月1日(金)・21日(木)、3月1日(金)・15日(金)は拝観休止 | 三門に利休切腹の要因になった木造の置かれていることで知られる寺院です。 公開される方丈(国宝)は8室に分かれる特異なもので(通常は6室)、開山の大燈(だいとう)国師の像が安置されています。また8室のうち2室は国師の塔所(墓所)「雲門庵(うんもんあん)」になっています。狩野探幽の作の水墨画「山水図」「芦雁(ろがん)図」などの障壁画(重文)も公開されます。 方丈庭園は特別名勝・史跡に指定される枯山水庭園で、庭園から見える唐門(国宝)は豊臣秀吉の造った聚楽第の遺構と伝わり、彫刻を見ていると一日が終わってしまうといわれ別名「日暮門」と呼ばれます。大徳寺の住職だった天祐和尚の作庭による前庭と、小堀遠州の作庭と伝わる東庭からなります。 |
| 相国寺 慈照院 京の冬の旅6年ぶり |
相国寺の塔頭寺院で足利8代将軍義政や桂宮家の菩提所です。 客殿(本堂)は桂宮家から移築されたもので宮家代々の位牌が祀られ、狩野派の「帝鑑図(ていかんず)屏風」が飾られています。 客殿北廊下には、柱間を利用して作られた珍しい二重丸炉(がんろ・茶の湯に使われる炉の一種)があります。また客殿の前の庭園は「陸船松(りくせんしょう・船の形に整えられた松です)」や石組が見事な枯山水庭園が広がります。 桂宮の御学問所として建てられた書院「棲碧軒(せいへきけん)」は、桂離宮「古書院」と同じ材や建築法で造られています。 「朝鮮通信使に関する記録」がユネスコ世界記憶遺産に登録されたことを記念して、慈照院の僧に通信使が贈った巻物「韓客詞章(かんきゃくししょう)」など書画類が特別展示されます。 |
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| 本法寺 | 特別展示の寺宝については、期間中展示替えが行われます | 日親上人が創建した日蓮宗本山の一つで、本阿弥光悦(寛永の三筆の一人)の菩提寺です。本法寺塔頭に寄宿していた長谷川等伯が京都で最初に手がけた「日堯(にちぎょう)上人像」(重文)、「波龍図(はりゅうず)屏風」や狩野山楽筆の「唐獅子図(からじしず)屏風」などが特別公開されます。また「京都三大涅槃図」の一つに数えられる等伯筆「佛涅槃図」(重文・複製)のほか、光悦が作庭したと伝わる「巴(ともえ)の庭」(名勝)もみどころです。 |
| 善想寺 京の冬の旅初公開 |
毎週日曜日10:00～13:00は拝観休止 | 開基・想阿善悦(そうあぜんえつ)上人の法名の二字を取って善想寺と名付けられた浄土宗寺院です。 四条後院(平安中期の上皇の御所)の跡地に建ち、「石仏阿弥陀如来」は、上皇により造立され800年余り前より祀られてきました。 また地蔵堂に祀られる「地蔵菩薩像」は、伝教大師最澄が自ら彫ったと伝わる念持仏で、「泥足地蔵」や「汗出し地蔵」とも呼ばれ身代り地蔵尊として信仰されています。 本堂に祀られる「善光寺式阿弥陀三尊」像は、中尊と脇侍の背後を1枚の船形光背が覆い、両掌を胸前で水平に重ねる独特の印を結ぶ脇侍が特徴です。 |
| 妙心寺・天球院 | 江戸初期に姫路城主・池田輝政の妹・天久院(てんきゅういん)が創建した妙心寺の塔頭寺院です。 方丈(重文)は、玄関とともに江戸時代を代表する禅宗方丈建築で、方丈内部を飾る障壁画(重文・一部をのぞき複製品)は、狩野山楽(生誕460年)と山雪作で、「竹虎図」「梅に遊禽図(ゆうきんず)」、朝顔と鉄線の花を描いた「籬草花図(まがきそうかず)」など金碧(きんぺき)障壁画で、創建当時の豪華絢爛さを今に伝えています。また、西の間には山楽・山雪の水墨画が残されています。 |
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| 妙心寺・麟祥院 京の冬の旅8年ぶり |
徳川三代将軍家光が創建した春日局の菩提所で妙心寺塔頭寺院です。 御霊屋(おたまや)には小堀遠州作と伝わる春日局坐像が安置され、建物は春日局が仙洞御所にあった釣殿を後水尾天皇より下賜されたもので、かつては能舞台として使用されていました。 方丈の障壁画は春日局と親交のあった絵師・海北友松(かいほうゆうしょう)の子、友雪の筆による水墨画で、雌雄の龍を描いた「雲龍図(一部複製)」「瀟湘八景(しょうしょうはっけい)・西湖図」などが描かれています。そのほか春日局が家光より賜わった「百椿図(ひゃくちんず)屏風」なども特別公開されます。 |
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| 妙心寺・龍泉菴 京の冬の旅5年ぶり |
2月28日(木)、3月1日(金)は拝観休止。 特別展示の寺宝については、期間中展示替えが行われます。 |
妙心寺塔頭のなかでも寺格の高い「妙心寺四派」の一つ龍泉派の本庵です。 山内塔頭寺院の中で最大規模を誇る方丈には、1999年開祖五百年遠諱にあわせて日本画家・由里本出(ゆりもといずる)氏が描いた100面に及ぶ障壁画があります。また狩野探幽筆「観音・龍虎図」、谷文晁筆「秋山出屋図(しゅうざんしゅつおくず)」、長谷川等伯筆「枯木猿猴図」(重文・複製)、長沢芦雪、松村景文の作品なども特別公開されます。 |
| 仁和寺(金堂・経蔵) | 2月2日(土)・3日(日)・14日(木)・15日(金)、3月3日(日)・4日(月)は経蔵のみの公開 です(300円) 輪蔵を回転させることはできません。 |
秋季に金堂裏堂の五大明王像が初公開され話題になりました(冬の旅では公開されません)。 「御室(おむろ)御所」と呼ばれ代々皇室から住職を迎えた門跡寺院です。御所の紫宸殿を移築した金堂(国宝)には壁一面に極彩色の浄土図が描かれ、本尊・阿弥陀三尊像や四天王像、帝釈天像などが安置されています。 経蔵(重文)は「天海版一切経」を納めるお堂で、中央に八角形の輪蔵(りんぞう・回すことはできません)を備え、四方には美しい色彩を留める壁画が残ります。 |
| 轉法輪寺(てんぽうりんじ) 京の冬の旅初公開 |
1月20日(日)は拝観休止 1月27日(日)は11:00からの公開 2月24日(日)は13:00からの公開 |
「御室大仏」と呼ばれる京都で一番大きい阿弥陀如来坐像(二丈四尺・7.5m)で知られます。また日本に5体しかない裸形の阿弥陀如来立像・4m×5.5mの釈迦大涅槃図・竜宮造りの鐘楼門などがあります。 |
| 東寺 五重塔 | 8:30～17:00(16:30受付終了) 800円 |
高さ55mの五重塔は日本で一番高い木造建築です。通常非公開の塔内の初層内部は極彩色の文様で彩られ、心柱を密教の根本仏・大日如来に見立て、四方に金剛界四仏が安置されています。密教仏の宝庫で、講堂に安置される立体曼荼羅(イケメン帝釈天が人気です)は、弘法大師空海の手によるものです。 |
全会場の地図と各会場へのJR京都駅からのアクセス
1・建仁寺(正伝永源院・両足院・霊源院)／智積院／東福寺 光明宝殿へはこちらから
2・大徳寺 本坊／相国寺 慈照院／本法寺／善想寺／東寺 五重塔へはこちらから
3・妙心寺(天球院・麟祥院・龍泉菴)／仁和寺(金堂・経蔵) ／轉法輪寺(てんぽうりんじ)へはこちらから
それぞれＪＲ京都駅から公共交通機関でのアクセス方法をご紹介しています。
