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松尾大社 秦氏創建、磐座と最古の御神像

奈良県の大神神社(おおみわじんじゃ)・京都府の梅宮大社とともに、日本三大酒神神社のうちの一つとして醸造家の方から絶大な信仰を集め、境内には菰樽がずらりと並びます。
古くより歴代天皇による崇敬を集め行幸参拝された天皇も数多く、源頼朝をはじめとする武家からも信仰され 足利義政豊臣秀吉も神馬を献上したと伝わります。

松尾大社の見どころ

人気の嵐山・嵯峨野から渡月橋を南へ渡り、阪急嵐山駅から一駅にある、お酒の神様として知られています。
境内に約3000株の山吹が植えられ、春から初夏にかけて境内を横切る一ノ井川沿いは、川にかかるように可憐な黄色い花が咲き誇ります。

有料エリアにある松風苑三庭は重森三玲作庭で、「曲水の庭」「上古の庭」「蓬莱の庭」からなります。曲水の庭は曲水の宴を思わせ、上古の庭は松尾山山上にある磐座を表現し、蓬莱の庭は仙人の住む蓬莱山を表した池泉式の庭で、それぞれ違った表情を見せる名庭です。

大杉谷の磐座と秦氏と「日本第一酒造神」

四条通の東端には八坂神社があり反対の西端にあるのが松尾大社で、御祭神は大山咋神(おおやまくいのかみ)と市杵島姫命(いちきしまひめのみこと)の2柱の神様です。
大山咋神は山に宿る神霊・農耕の神・醸造の神といわれ、太古よりこの地域一帯で信仰されていた松尾山の神様を、山頂近くにある大杉谷の磐座(いわくら)に祀ったのが始まりといわれます。

その後5~6世紀ころ、大陸より渡来した秦氏が松尾山の神を氏神様とし、天皇の勅命によって秦忌寸都理(はたのいみきとり)が 山上に祀られていた神を現在の地に勧請し社を創建したのが松尾大社の始まりと伝わります。
娘の知満留女(ちるまめ)が斎女となり奉仕し、以後明治の頃まで子孫が代々神職を務め 賀茂社が「東の厳神」と呼ばれたのに対し「西の猛霊」と呼ばれ、平安京遷都後の西の王城鎮護の神とされていました。

神代の昔、神々の集いに際し大山咋神が一夜にして酒を造り、もてなされたところ大変喜ばれたという伝承もあります。
このような伝承をはじめ、地域の開拓に尽力した秦氏が醸造の技術を伝えたこと、良い水の沸くことなどから松尾大社も醸造の神様として信仰されるようになり、室町時代以降には「日本第一酒造神」といわれるようになりました。

酒造りは「卯の日」にはじめ「酉の日」に完了する慣わしがあることから、毎年・11月上卯日には上卯祭(醸造祈願祭)が行われ、祈願をされたお札を受けて持ち帰り、酒造りを始める習わしになっています。
春になると醸造完了を感謝する中酉祭(醸造感謝祭)が4月中酉日に行われます。
お酒のみならず、味噌・醤油・お酢・洋酒などの醸造に携わる方や、小売業の方々も集まり両日とも盛大にとりおこなわれます。

酒造の際に境内にある「亀の井」の水を混ぜると酒が腐らないと言われ、古くより酒造に携わる方たちから信仰され、今でも沢山の菰樽(酒樽)が奉納され お酒の資料館もあります。
資料館の隣にある「京つけもの・もり」では漬物がお土産にでき、 お休憩処「団ぷ鈴」ではみたらし団子やアイスクリーム、お蕎麦や霊泉「亀の井」の水を使ったお酒などがいただけます。 (以前訪れた時には、しっかり抹茶の味がするソフトクリームを美味しくいただきました)
また歩いて数分にある「京菓子司・松楽」は松尾大社御用達の和菓子店で、御神酒を練りこんだ名物の酒まんじゅうなどが販売されています。

樽に向けて弓矢を射る「樽うらない」があり、的になっている樽に矢が入ればキーホルダーなどがいただけます。お酒にまつわるお守りなどもありますので、お酒好きな方は是非どうぞ。

延命長寿・蘇りの霊泉、霊亀の滝と亀の井

松尾山は七つの谷に分かれていて、社務所裏の御手洗川には霊亀の滝がかかります。 この滝の手前にある「亀の井」は延命長寿・蘇りの霊泉として有名で、この水を使ってお酒を仕込むと腐らないといわれています。
松尾大社では古来神様が保津川をさかのぼりこの地を開拓される際、急流は鯉に、緩やかな流れでは亀に乗って進まれたと伝わり、 神の使いとしてが祀られます。開拓された際に出た土をもってできたのが亀山・荒子山(あらしやま)となったと伝承が残ります。

滝の北に大杉谷がありさらに急な坂を登ると大きな岩(磐座)があります。 今でも登拝することができます、2人以上の許可制で天候やサルの出没によっては禁止されることもありますので、問い合わせ先はこちら。(075-871-5016) なお受け付けは9:00~15:00、16:00までに必ず下山の報告をし 初登拝の時には1000円の初穂料が必要です。
追記:2018年の台風21号は各地で多くの被害をもたらしました。こちらも被害を受け磐座への参拝道が修復不可能となり、残念ながら今後登拝できなくなりました。
庭園は重森三玲によるもので、上古の庭・曲水の庭・蓬莱の庭と三つに分かれ 松尾山を借景にした回遊式の庭園になっていて、それぞれに美しい表情を見せる お庭好きにお勧めしたい穴場スポットです。 また亀の井や霊亀の滝はこの庭園から続いています。

庭園内にある神像館では日本最古と伝わる三神像をはじめ 数々の御神像が祀られています。

おいで(神幸祭・神輿渡御祭)とおかえり(還幸祭)

かつては「松尾の国祭」と称せられ、3月中卯日に出御・4月上酉日に祭礼となっていましたが、
現在は毎年4月20日以後最初の日曜日に、松尾七社のお神輿と唐櫃が桂離宮の辺りで桂川を渡って西七条御旅所や末社に留まり、三週間後の日曜日の還幸祭(おかえり)でお戻りになります。本殿や楼門・御旅所や神輿・神職の冠や烏帽子に至るまで、様々な場所を葵や桂を飾るので古くから西の葵祭・松尾の葵祭とも呼ばれています。

「神幸祭・おいで」では、松尾七社の神々(大宮社・月読社・櫟谷社・宗像社・三宮社・衣手社・四之社)をそれぞれの御神輿(月読社は唐櫃)に分霊を受け、拝殿を3回回ったのちに松尾・桂の里を練り歩き、桂離宮の東北側から桂川を船で渡り(船渡御)、河原斎場で勢揃いし古例の団子神饌を奉じたのちに、四基の神輿と唐櫃とは西七条御旅所に、二基の神輿は西京極の川勝寺と郡の御旅所にそれぞれ向かわれ、三週間駐輦(ちゅうれん)されます。(輦とは天子の乗る車のことで、行幸の途中で車をとめること、または行幸先に滞在することを駐輦と言います。)

三週間後の「おかえり・還幸祭」では、三ヶ所の御旅所に駐輦されていた神輿と唐櫃が西寺跡の「旭の杜」に集合し、ここで古例による西ノ庄の粽の御供・赤飯座(あかいざ)の特殊神饌をお供えして祭典をした後、途中朱雀御旅所に立ち寄り、ここでも祭典が行われます。
次いで七条通りを西に進み、西京極、川勝寺、郡、梅津の旧街道を経て、松尾橋を渡り本社に還御されます。
還幸祭は神輿渡御祭の中心で、氏子の方々で(おまつり)と言えばこちらを意味し、大変にぎわうお祭りです。

お祭りではありませんが、氏子青年会によるフリーマーケット「亀の市」も行われています。
コロナ前は月一で開催されていましたが、再開されてからは開催のない月もありますので詳細は松尾大社公式サイトでご確認くださいませ。

拝観時間・拝観料など

境内自由
お酒の資料館無料
御祈祷受付 9:00~16:30過ぎまで

松風苑三庭と神像館 9:00~16:00(日曜祝日9:00~16:30)
松風苑三庭(3つの庭園)と神像館共通
大人500円・学生400円・子供300円

非公開・重要文化財・本殿特別参拝
10:00~・11:30~・13:30~・14:30~1000円(幼稚園児以下は無料)
お正月の7日間は休止

フリーマーケット「亀の市」毎月開催(お休みの月あり)
9:00~15:00頃(雨天の場合は順延か中止)
骨董・鉢植え・古着・日用雑貨などや、リサイクル品や手づくり品のお店もあります。松尾大社氏子青年会主催で行われています。

京都駅からのアクセス

・市バス28系統(嵐山・大覚寺行き)で「松尾大社前」下車してすぐ
・地下鉄烏丸線(国際会館行き)で「四条駅」下車して、北にある「阪急烏丸駅」で(梅田行き)に乗り換え「桂駅」へ、さらに(阪急嵐山行き)に乗り換え「松尾大社駅」下車してすぐ。

松尾大社の周辺地図

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