平安中期の長元2年(1029年)恵心僧都の弟子にあたる源算上人によって開かれた天台宗の単立寺院です。
長元7年(1034年)後一条天皇より鎮護国家の勅願所に定められ「良峯寺」の寺号が下賜され、長久3年(1042年)後朱雀天皇の命により洛東の鷲尾寺に祀られていた仁弘法師作と伝わる千手観音像を遷してご本尊とし、建久3年(1192年)後鳥羽天皇より宸額(天皇直筆の額)を下賜され「善峯寺」と改められました。
皇室の崇敬を受け寄進によって伽藍が整備され、青蓮院門跡より多くの親王が入山されたため「西山門跡」と呼ばれていました。
善峯寺の見どころとアクセス
室町時代には僧坊52を有する大寺院でしたが、応仁の乱の兵火によって大半を焼失。
江戸時代に五代将軍徳川綱吉公の生母・桂昌院の寄進を受け、鐘楼・観音堂・護摩堂・薬師堂・経堂・鎮守社が再興され現在に至ります。
今でも3万坪にも及ぶ境内には、国の重要文化財に指定された多宝塔をはじめ20近い堂塔が建ち並び、あじさいの名所で、ほかにもしだれ桜・ツツジ・百日紅・秋明菊・紅葉などなど様々に四季を彩る「花の寺」として知られます。
拝観時間・拝観料など
通常 | 8:00~17:00(16:45受付終了) | 入山料大人500円・高校生300円・小中学生200円 |
追記:2021年4月1日~拝観時間が変わります。 土日祝 8:00~17:00(16:45受付終了) 平日 8:30~17:00(16:45受付終了) |
入山料は変わりません | |
文殊寺宝館 春季4・5・6月の土日祝(4月1~4月中頃は毎日) 秋季10・11月の土日祝(11月初旬~12月初旬は毎日) |
9:00~16:30 | 入山料にて拝観できます なお毎日拝観できる日は年によって異なります |
12月31日 除夜の鐘 |
23:45~1:15閉門 | 先着108名にはお菓子の授与あり、鐘は108名以降もつくことができます 入山無料ですがこの時間のバスの運行はなく、1:15~初日の出の開門までは境内と山門前駐車場には入れなくなりますのでご注意ください。 |
1月1日 初日の出 |
6:30開門(雨天の場合は通常の8:00~になります) | |
1月1日~3日 毎月第二日曜日 |
観音堂にて御本尊が御開帳になります。 | |
追記:1月1日~3日と毎月第二日曜日に行われてきた御本尊の御開帳ですが、2021年をもって終了になり、2022年からは秘仏となります。 秘仏となってからは開山一千年を迎える2028年まで御開帳予定はありません。 |
JR京都駅からのアクセス
1・京都駅からJR京都線(新大阪・大阪・三ノ宮方面行き)で「日向町駅」下車して、阪急バス66系統(善峯寺行き)に乗り換え、終点の「善峯寺」下車して徒歩10分ほど
※バスは8:35~14:35(土日は15:35まで)一時間に一本です。
※日向町駅にはタクシー乗り場があり、タクシーで20分ほどです。
善峯寺と周辺のお寺など
花の寺と西国三十三所観音霊場
西国三十三所観音霊場の第二十番札所で御本尊は遷座された千手観音菩薩で秘仏です。
そしてもう一つ京都洛西観音霊場の第一番札所としての御本尊は、開山・源算上人が自ら彫られた千手観音像です。元はこちらの仏さまが御本尊でしたが、今では脇本尊としてお祀りされています。
遊龍の松と桂昌院お手植えのしだれ桜
善峯寺といえば地を這うように横に伸びる松を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
「遊龍の松」と呼ばれる樹齢600年を超える、約全長37mの五葉松です。
今でも十分長いのですが、虫食い被害で伐採されるまで50mを超える長さがありました。
50m・・・子どもの足で直線を走っても10秒近くかかります。すごい!この見事な松は国の天然記念物に指定されています。
もう一つ有名なのが桂昌院お手植えと伝わるしだれ桜です。
某CMで見事な姿を披露していましたが、樹齢300年を超える立派なもので、境内にはほかにも100本を超えるさまざまな種類の桜があり、見ごろが1か月ほども続きます。
花の寺
春には梅・桜・躑躅・牡丹・シャクヤク
初夏にはサツキ・アジサイ
夏には百日紅
秋には秋明菊そして紅葉
冬には南天・さざんか・椿に雪景色
どの季節に訪れても山の斜面を埋め尽くす花が美しく、回遊式庭園になった境内は30~40分で一周することができ、山の中腹にあるため市街地を望める素晴らしい景色も広がります。
梅雨の時期、約3000坪の白山あじさい苑に約1万株もの色とりどりのアジサイが咲き誇りアジサイの名所としても知られます。
桂昌院と善峯寺
薬師堂に祀られるお薬師さまは「出世薬師如来」として信仰されています。
桂昌院の父がこのお薬師様に女の子を授かることを願い、みごと授かった女の子が三代将軍徳川家光公の側室になり、五代将軍綱吉公の生母に、そして従一位のくらいにまでのぼりつめたことから開運出世のご利益があると信仰されきました。
(桂昌院は西陣の八百屋の娘だったと伝わります。関連記事は今宮神社のページをご参照下さい。)境内には桂昌院の遺髪を納めた廟もあります。
豊富な文化財
国の重要文化財に指定された「大元帥明王図」をはじめ300点を超える文化財を有し、特に桂昌院ゆかりのお寺として徳川家ゆかりの品々を多数所蔵しています。毎年、春と秋には文殊寺宝館にて公開されています。
一年を通して花も景色も美しいこのお寺ですが、嵐山の南方向、西山に広がる大原野にあるためアクセスが良いとは言えません。
そして境内は山の中腹にあるため、斜面や階段が多いので拝観には注意が必要です。
街中の寺院のように電車やバスでちょっとそこまで!とサクサクまわることもできません。
それでも、それを補って余りあるほどの絶景が出迎えてくれること必至です!
周辺には十輪寺・三鈷寺・金蔵寺・別名花の寺といわれる勝持寺・大原野神社などもあり、東海自然遊歩道などを使えばハイキングでまわることも可能です。(ハイキングルートは複数あります)
ただし10㎞ほど山道を行くことになるので、体力と時間のある方にお勧めルートです。