清水寺を開いた延鎮僧都によって806年に開創されたと伝わる西山浄土宗のお寺で、柳谷観音 立願山楊谷寺と言います。
近年、花手水がインスタ映えすると若い女性や外国からの観光客に人気になっているお寺で、古くから眼病にご利益があると信仰されています。
JR京都駅からのアクセスと見どころ
アジサイのお寺として知られていましたが、きれいな花手水にも力を入れていて、押し花御朱印など限定御朱印も多くの種類授与されています。
また定期的に押し花御朱印の作成体験を行っています。
映画の舞台にも使われた上書院はあじさいと紅葉の時期に特別公開され、目の前に広がる浄土苑(庭園)は特別公開時のみすべてを見渡せる見事な景色が広がります。
拝観時間・拝観料など
日時 | 時間 | 拝観料など |
通常拝観 | 9:00~16:00(受付終了) | 境内無料 |
ご縁日 | 毎月17日 9:00~16:00(受付終了) 10:00~15:00(上書院) |
上書院拝観料500円 |
あじさいウィーク | 6月~7月 9:00~16:00 |
拝観料300円 上書院+寺宝庫拝観800円 押し花御朱印など数種の限定御朱印あり |
紅葉ウィーク | 11月~12月 9:00~16:00(上書院と寺宝庫のは15:00まで) |
拝観料300円 共通券(拝観料+上書院+寺宝庫拝観)1000円 押し花御朱印など数種の限定御朱印あり ※予約制の人数限定ライトアップあり |
JR京都駅からのアクセスと周辺の観光名所
1・京都駅からJR京都線(新大阪・大阪・三ノ宮方面行き)で「長岡京駅」下車してタクシーで15分ほど
2・京都駅からJR京都線(新大阪・大阪・三ノ宮方面行き)で「山崎駅」下車して、徒歩5分ほどの阪急「大山崎駅」から(河原町行き)で「西山天王山」下車して徒歩1時間ほど(ハイキングコースあり)・またはタクシーで10分ほど
※毎月17日にはJR長岡京駅と阪急西天王山駅からシャトルバスが運行されています(片道300円志納)。
※最寄り駅は「西山天王山駅」で西山連峰トレッキングコースが整備されていますので、歩かれる方はこちらから。
また北にある善峯寺まで西山古道を通って歩いて行けます(山道です)。光明寺と三寺で「西山三山」巡りを展開していて、三寺それぞれの土鈴を授与しています。
詳細地図は善峯寺公式サイトをご覧ください。
開創したのは清水寺の延鎮僧都
清水寺にいた延鎮僧都の夢に「西山にて生身の観音様に出会うことができる」とのお告げがあり、これにしたがって西山に入り柳(楊・やなぎ)の生い茂る渓谷の岩上に生身の観音様を見つけ、喜んだ延鎮僧都がお堂を立て祀り楊谷寺としたのが始まりといわれます。
この仏様は十一面千手千眼観音菩薩で、十一の顔と千の手を持ち、さらにその手のひとつひとつすべてに眼を持ち、あらゆる人々を見失うことなく救う徳の高い観音様とされています。
眼病平癒の霊水・独鈷水(おこうずい)は空海の祈祷によるものです
延鎮は清水寺に戻り、のちに空海が乙訓寺の別当としてこの地を訪れていた際に、お堂のそばの溜まり水で親ザルが目のつぶれた子ザルの眼を一心不乱に洗っている姿を見て、不憫に思い17日間の祈祷を施したところ子ザルの眼が開いたといいます。
この不思議な水に空海がさらに17日の祈祷を施し、眼病に悩む人々のための霊水にしたという伝説があり、これが今も眼病に霊験があると伝わる独鈷水(おこうずい)です。
古くより目を病んだ方々がお籠りされたり、独鈷水を飲んだりして病が癒されたといい、最近では眼(ガン)とも読むことからがん封じのお参りをされる方も多くいらっしゃるそうです。
霊験あらたかと言われ、熱心にお参りされされる方も多く、お水をいただくにもルールがあるようですので、マナーを守っていただきましょう。
天皇家ゆかりの品々は寺宝庫にて特別公開
天皇家とのゆかりも深く、江戸時代の第112代霊元天皇の眼病平癒をきっかけに明治の代まで独鈷水が皇室に献上されていたと言われ、子宝祈願や追善供養のための観音像造立なども行われたことから、下賜された品を多く所蔵し、あじさいウィークや紅葉ウィークの期間などに特別公開されています。
また淀殿がこちらの観音様を信仰され、毎日こちらの水で顔を洗っていたとも伝わり、ご寄進された厨子が阿弥陀堂に収められています。
観音霊場と見どころ満載の境内
1932年に始まった新西国霊場(三十八霊場)の第十七番札所として本尊十一面千手千眼観音さまが祀られる本堂が、、京都洛西観音霊場十番札所として十一面千手観音さまが祀られる奥の院がそれぞれ指定されています。
山門両脇には通常仁王様がいらっしゃいますが、こちらは風神雷神が祀られています。
受付になる書院わきには独鈷水(おこうずい)があり、自由に汲んで持ち帰ることができます。またお大師様の像の前には四国八十八か所霊場のお砂が埋められていてお砂ふみもでき、こちらをお参りしてから独鈷水をいただくとご利益倍増といわれます。
書院~上書院~奥の院まで続く回廊周辺はあじさいが多く植えられ、奥の院まで上る間に心琴窟(しんきんくつ・水琴窟)などもあり様々な庭園の様子を鑑賞できます。
特別な方をお迎えする上書院
特別拝観の行われる上書院は西山のヒノキを使った総檜造りで、特別な方をもてなすお茶室として明治に建造されました。
毎月17日の午前中に特別公開され(あじさいと紅葉の時期にも特別公開されます)、目の前に広がる三層に分かれた景色を持つ浄土苑(京都府指定の名勝庭園)の、すべての眺めが楽しめるのは上書院が特別公開されるときのみになります。
またこの縁日には百万遍大数珠繰りの法要や5月と9月には大般若転読会などが行われ、普段秘仏のご本尊が開扉されます。
本堂に祀られる千手千眼観音様は特別公開時のみの御開扉ですが、隣に祀られるお賓頭盧(びんずる)さんは撫で仏で、自らの悪いところを同じ個所をさすって病気平癒を祈願します。
ご本尊の右隣に勝敵毘沙門天王、左隣に将軍地蔵大菩薩(こちらも秘仏)が祀られるのは、延鎮さんの開かれた清水寺と同じです。
眼病平癒だけではない!神仏習合のお寺
奥の院に祀られる千手観音さまは、子授け・安産・恋愛成就の御利益があるとされ、二十八部衆が脇を固めています。
美人祈願や芸事の上達などにご利益があるとされる淀殿弁天堂では弁天様のお前立に淀殿の人形が祀られ、阿弥陀堂には淀殿の寄進したといわれる厨子が安置されています。
毎月17日に護摩の焚かれる護摩堂、縁結びや夫婦円満にご利益のある愛染明王堂、伏見稲荷大社から勧請され先見の明を授けてくれるお稲荷様、親子地蔵の祀られる地蔵堂、堂宇が全焼した際も難を逃れたといわれる災害除けの御利益のあるおひよけさま(地蔵菩薩)などなど、境内にはさまざまな願いをかなえてくれる神様仏様が祀られる、まさに神仏習合のお寺です。
御朱印のほかにも、目のお守り・メグスリの木のお茶・ブルーベリーの飴・美人手ぬぐいなど様々な授与品があり、これらは郵送でも授与していただけます。
押し花御朱印の作成体験など、さまざまなワークショップを精力的に開催されていますので、ご興味のある方は柳谷観音楊谷寺公式サイトをご覧くださいませ。