平安京遷都の数年後には羅城門の東西に「東寺」「西寺」の建立が始まり、 弘法大師空海に嵯峨天皇より下賜されたのが823年と伝わります。 その後、真言密教の根本道場として発展していき現在に至ります。
東寺の見どころとアクセス
他県から新幹線で京都を訪れる場合ランドマークといえるのが八条口では東寺の五重塔、烏丸口側では京都タワーでしょう。
駅に降り立ちビルの間から五重塔を見つけると、あ~京都についたな~となんだかわくわくします。東寺の五重塔は日本で一番高い木造建造物(約55m)です。
東寺へは京都駅から一駅、歩いてゆくこともできる距離です。四国八十八カ所を巡る人はまず御影堂でお大師様に出発のご挨拶をしてからといわれ、食堂(じきどう)ではお遍路に必要なグッズが沢山扱われています。
じっくり拝観するなら、金堂講堂、宝物館だけでも90分は欲しいところです。
駆け足拝観なら、五重塔や御影堂(大師堂)まで含め1時間あれば。
拝観時間と拝観料など
通年 | 開門5:00~閉門17:00 | |
講堂・金堂 | 8:00~17:00(16:30受付終了) | 大人500円/高校生400円/中学生以下300円 |
観智院 | 9:00~17:00(16:30受付終了) | 高校生以上500円/中学生以下300円 |
講堂・金堂・観智院共通 大人800円/中学生以下500円 |
||
宝物館 | 9:00~17:00(16:30受付終了) |
3月20日~4月25日 講堂・金堂・観智院・宝物館共通 |
五重塔初層特別公開 | 8:00~17:00(16:30受付終了) |
春と秋の特別公開/京の冬の旅などの特別公開期間のみ 五重塔・金堂・講堂 全ヵ所共通 |
春の夜間特別拝観 | 18:30~21:30(21:00受付終了) |
夜桜ライトアップ 3月中旬~4月中旬 |
秋の夜間特別拝観 | 18:30~21:30(21:00受付終了) |
紅葉のライトアップと金堂・講堂夜間特別拝観 大人1000円/中学生以下500円 |
毎月21日 | 5:00~17:00 |
弘法市(弘法さん) 北野天満宮で行われる天神市(天神さん)と並ぶ京都二大骨董市といわれ、毎月20万を超える人々が訪れるといわれます。骨董だけでなく様々なお店が1000軒以上並びます。 また食堂の周りでは四国八十八カ所のお砂ふみが行われます。 |
※東寺の拝観料は春季秋季の特別展や五重塔初層公開期間などで異なります。
期間も細かく設定されていますので、詳細は東寺公式サイトでご確認の上お出かけくださいませ。
JR京都駅からのアクセスと周辺の観光名所
1・近鉄京都線で「東寺駅」下車して徒歩8分ほど(南大門まで)
2・市バス205系統(九条車庫行き)で「東寺道」下車して徒歩5分ほど(東門まで)
3・市バス42系統(中久世 JR桂川駅・阪急洛西口駅前行き)で「東寺東門前」下車すぐ(一時間に一本)
他にも78系統・19系統・八条口から16系統などもありますが、遠回りしてのアクセスだったり本数が少なかったりします。
京都駅八条口からは徒歩15分ほどです。
メモ
東寺は東西南北どちらにも入口がありますが、拝観受付は講堂の北側のみになりますので、公共交通機関でアクセスする場合東門が一番受付に近くなります。東門(交番脇の慶賀門)から入って左手に五重塔をみながら受付口まで行くと、途中で枝垂桜(不二桜)や五重塔・講堂・金堂が一堂に見渡せます。
東寺周辺の観光名所
九条通りを西へ行くと矢取地蔵寺(やとりじぞうじ)があります。伝説によると淳和天皇の御代に日照りが続き、天皇の命により東寺の空海と西寺の守敏による雨乞いが行われました。雨を降らせることのできた空海を逆恨みした守敏が、羅城門近くで待ち伏せし空海に向けて矢を放つも、黒衣の僧が現れて代わりに矢を受け難を逃れたといいます。その黒衣の僧は実はお地蔵様で、後に矢取地蔵・矢負地蔵と呼ばれ信仰されたと伝わり、現在のお堂は明治に地元の方々が寄進したものです。
矢取地蔵寺北側の小さな公園内に羅城門跡の石碑が残ります。羅城門はかつての平安京の正門で、朱雀大路の南端にありました。東寺に残る兜跋毘沙門天像(とばつびしゃもんてん)や三彩釉鬼瓦(三彩釉・さんさいゆうとは焼き物に使われるうわぐすりの一種で、焼くとガラス状になります)は、羅城門にあったものと伝わります。
さらに九条通りを西へ進み七本松通りを北へ行くと小学校の裏に西寺跡の公園があります。東寺と並ぶ官寺として同じ規模の寺域を誇る大寺院でしたが、数度の火災の後に廃寺となり、現在は講堂跡に後世に造られた土塁と石碑が残るのみです。
公園の北側にある鎌達稲荷(けんたついなり)神社は、勝負運・災難除け・弾除けなど、奇跡を生むご利益があるとされ、サムハラ守りは人気があります。サムハラは漢字のような四文字の神字で文字自体にご利益があるとされ、加藤清正が朝鮮出兵の時に刀に刻んで無事帰ることができたといわれ、戦時中には弾除けの御守として千人針や衣服に記されたそうです。
東寺から北へ行くと清和源氏発祥の地といわれる六孫王(ろくそんのう)神社があり、中央にかかる太鼓橋は恋の架け橋と呼ばれ、縁結びのご利益があるとされています。桜の季節には黄緑色のウコン桜が咲き、隠れたお花見スポットになっています。
さらに北ある梅小路公園には京都鉄道博物館や京都水族館などのほか、軽食カフェやレストランなどもありお子様連れにもうれしい府民憩いの場になっています。鉄道ファンにはここでしか手に入らない市電グッズもあります。2019年には新しくJRの駅「梅小路京都西駅(うめこうじきょうとにしえき)」が近くに開業し京都駅からのアクセスが格段に良くなりました。
周辺の地図
東寺(教王護国寺)仏像群
講堂 立体曼荼羅
曼荼羅と言っても立体の言葉通り絵ではなく仏像で曼荼羅が表現され、講堂内は正に異空間。
中央には大日如来を中心に金剛界五仏、向かって右側に金剛五菩薩、向かって左側は五大明王が祀られています。
東寺講堂 五大明王
講堂は弘法大師空海が密教の教えを立体的に再現したもので、二十一体の仏像群が堂内にひしめきいつ訪れても身の引き締まるおもいがします。イケメンと話題の帝釈天像はここに安置されています。
不動明王を中心に右手前より、 降三世明王立像(ごうざんぜ)、軍茶利明王立像(ぐんだり) 後列右より、 金剛夜叉明王立像(こんごうやしゃ)、大威徳明王座像(だいいとく) が祀られています。
講堂内は薄暗く表情の全てまで読み取れないのですが、かえってそれで凄味を増しています。
見るのではなく、拝む、感じる世界。 圧巻という言葉が緩い表現に感じてしまうほどです。
これらの仏像の両脇を天部である帝釈天と梵天が固め、 更に四方には四天王が立ち、睨みをきかせています。
金堂
講堂の方が話題になりがちですが金堂が東寺の本堂で、ご本尊は薬師如来・足元には十二神将が控えています。
気品さえ感じる、荘厳な薬師三尊像です。
薬師如来は三メートル弱の丈六座像で堂内で拝むとモット大きさを感じます。
向かって右側に日光菩薩、左側には月光菩薩、こちらは穏やかで繊細な表情です。
そしてお薬師さまの台座の下にはぐるりと十二神将がならびます。
足元の十二神将はそれぞれ1mほどの像ですが、以前灌頂院で公開された際に拝観した時には、いつもお堂で見上げる時よりも存在感がありました。
宝物館
春と秋に公開される宝物館では、1階、中2階ではお寺の歴史や寺宝(毎回さまざまなテーマに沿った特別展)を拝見出来ます。
2階大ホールに足を踏み入れると・・・ 丈六の千手千眼観音菩薩(約6m)が眼前にドカ~ンと現れ圧倒されます。
静かにしないといけない場所なのですが、 どうしても溜息混じりの感嘆が口から漏れるのは仕方ないと感じます。
元々は食堂のご本尊でかつて僧侶達はこの像を拝しながら、食事をしていたのかと思うと言葉が出ません。
火災によって焼失していますが現在も100本をこえる小さな手が残り、国宝・重文に指定される像では国内最大の千手観音像です。
千手観音の周りにはかつて羅城門に祀られていた兜跋毘沙門天(とばつびしゃもんてん)や、西寺から伝わったとされる端正なお顔の地蔵菩薩像など 様々な仏さまが祀られています。
観智院
北大門から境内を出てすぐ右手にある、東寺の塔頭寺院です。以前は特別公開のみでしたが、通年で公開されるようになりました。
境内前に伸びる北大門から北総門へ続く参道・櫛笥小路(くしげこうじ)は、京都市内でただ一つ平安時代からそのままの幅で残る小路です。
国宝の客殿上段の間には宮本武蔵筆の「鷲の図」「竹林の図」があります。
本堂にはご本尊の五大虚空蔵菩薩像。虚空蔵菩薩は智慧の神様で、こちらのお像のは獅子・象・馬・孔雀・迦楼羅と5体それぞれに違う鳥獣座に鎮座します。元は山科の安祥寺に祀られていた像と伝わります。
他に愛染明王像が祀られ、茶室「楓泉観/ふうせんかん」では狩野氏信筆の山水画や中林竹洞筆の秋草図などが残り、金堂や講堂とは違った空間を堪能できます。
ほかにも見どころ満載
春や秋の特別公開時に初層が特別公開される五重塔ですが、塔の北側は瓢箪池を囲んだ池泉回遊式の庭園になっています。
春には梅・しだれ桜・藤、夏には百日紅に蓮・秋には紅葉と四季折々に木々や草花などが美しく咲き、池に映った五重塔ごと楽しめます。
池で休むカメさんをのんびり眺めながら、ほっと一息もいいものです。
毎月21日には弘法市(弘法さん)も開かれます。3月21日に入滅したとされるお大師さんにちなんだ縁日で、北野天満宮で行われる天神市(天神さん)と並んで、京都の二大骨董市といわれています。骨董だけでなく様々な出店が1000軒を超え、毎月20万もの方々が訪れるといわれます。
またこの日には食堂の周りで四国八十八カ所のお砂ふみも行われます。
御影堂(大師堂)では毎朝6:00~生身供(しょうじんく)が行われています。お大師様にお膳とお茶を供え、唐より持ち帰った仏舎利を頭と両手に授けていただく法要です。御堂では護摩が焚かれだれでも自由に参加させていただけます。
まだ静かな境内に響き渡る読経に、身の引き締まる思いのする贅沢な時間が流れます。