徳川家康から東本願寺第12代・教如上人に烏丸六条の地が寄進され、さらに家光から第13代・宣如上人に東側の地が寄進され、中国の詩人陶淵明(とうえんめい)の「帰去来辞(ききょらいじ」の一節から渉成園と名付けられました。
約一万坪もの土地に石川丈山(左京区の詩仙堂を造営したことで知られます)によって作庭されたと伝わる庭は、「十三勝」「十景」と呼ばれ国の名勝に指定されています。
渉成園(しょうせいえん/枳殻邸きこくてい)の見どころとアクセス
京都駅からは徒歩10分ほど・東本願寺からは東へ200mほど、東本願寺の飛び地境内にある庭園です。 周辺に枳殻(からたち)が植えられていたことから、枳殻邸(きこくてい)とも呼ばれています。
嵯峨天皇の皇子だった源融(みなものととおる・光源氏のモデルと言われています)が、 奥州の塩釜を模して造らせた庭のあった六条河原院の跡地ともいわれ 供養塔や塩釜の手水鉢・塩釜の井筒などが残ります(この説は現在は否定的されているようです)。
池泉回遊式の庭園で、園内には複数の建物がありますが 2度の大火によって焼失の後に明治初期に再興されたもので 、かつては門主の隠居地として、また海外からの賓客をもてなしたりする場として使用されていました。(現在も申請すれば書院や茶室が使用できます・075-371-9210/東本願寺 本廟部 参拝接待所へお問い合わせください)
毎年春にはお粥のいただける粥膳やあずきフェスタ、秋には特別公開が行われ 普段非公開の建物内部や、棟方志功の襖絵などが公開され茶席なども設けられます。
※2018年夏、20年ぶりに夜間の特別公開がされました。 秋(11月中旬~下旬)にも同様に夜間特別拝観とライトアップが行われ、それまで毎年11月初めに行われていた特別公開はされませんでした。今後秋の公開はどちらで行われるのかは確認中です。
入園時間・入園料など
3月~10月 | 9:00~17:00(30分前に受付終了) | 大人500円以上高校生以下250円以上 (庭園維持寄付として志納・ガイドブック付き) |
11月~2月 | 9:00~16:00(30分前に受付終了) | |
4月1日~数日 春の渉成園と粥膳 |
11:40~(120名) 12:40~(120名) |
1800円(粥・野菜炊き・大豆煮・香の物・お干菓子) 閬風亭(ろうふうてい)にて粥膳がいただけます。 2日前までに要申し込み(075-371-9210・真宗大谷派(東本願寺)本廟部 参拝接待所) 開催日数は毎年異なりますので、詳細は東本願寺公式サイトお知らせ一覧よりご確認ください。 |
4月1日~数日 あずきフェスタ ※上記と同時開催 |
9:00~16:30 | 親鸞聖人が好きだったといわれる「あずき」をテーマとした催しでです ・あずきを使用したお菓子やパン等の販売 ・おぜんざいのふるまい(各日午前と午後の2回、数量限定) ・あずきに関するパネル展示など |
11月 秋の渉成園 |
秋の数日間、普段非公開の建物内部が公開されます。 ※2018年夏に20年ぶりに夜間特別拝観とライトアップが行われ、秋にも東本願寺の報恩講に合わせて夜間特別拝観とライトアップが行われました(11月15日~27日・昼夜入れ替え制)。なおこの際毎年11月初旬に行われていた昼間の特別拝観は行われませんでした。 今後毎年夜間に行われるようになるのかは要確認(上記の公式サイトお知らせ一覧で1か月くらい前に行事の詳細が掲載されます) |
JR京都駅からのアクセス
京都駅から徒歩10分ほど。東本願寺から東へ200mほど。
最寄のバス停からも徒歩7分ほどですので、バスの乗降などを考えると歩いたほうが移動距離は少ないと思います。
※受付入り口は西側のみですのでご注意くださいませ。
渉成園と周辺の地図
渉成園十三景
江戸時代の儒学者・頼山陽が記した「渉成園記」では渉成園十三景として見どころが紹介され、広大な園内には多くの橋や建物(建物内部は通常非公開)などがあります。(現在の建物や庭は蛤蜊御門の変で焼失後に再建されています)
渉成園では十三景と諸建築として19カ所が紹介されています。渉成園公式サイトでは園内マップが公開されていますので19カ所の位置はそちらでご確認くださませ。
1・臨池亭(りんちてい)・北入り口すぐの小池に面した建物
2・滴翠軒(てきすいけん)・臨池亭とつながっています
3・代笠席(たいりつせき)・煎茶席
4・園林堂(おんりんどう)・持仏堂・棟方志功の襖絵はこちらにあります
5・偶仙楼(ぐうせんろう)・再建されていません
6・蘆菴(ろあん)・煎茶席
7・傍花閣(ぼうかかく)・園林堂の山門としての意味がある楼門造りの建物
8・侵雪橋(しんせつきょう)・反り橋
9・縮遠亭(しゅくえんてい)・茶室
10・五松塢(ごしょうう)・中島
11・回棹廊(かいとうろう)・屋根付きの橋
12・紫藤岸(しとうがん)・藤棚
13・丹楓渓(たんぷうけい)・カエデの林
14・臥龍堂(がりゅうどう)・かつては鐘楼があった
15・印月池(いんげつち)
16・閬風亭(ろうふうてい)・書院造りの建物
17・漱枕居(そうちんきょ)・茶室
18・双梅檐(そうばいえん)・梅林
19・大玄関(おおげんかん)
頼山陽の渉成園記では2滴翠軒→7傍花閣→15印月池→14臥龍堂→10五松塢→8侵雪橋→9縮遠亭→12紫藤岸→5偶仙楼→18双梅檐→17漱枕居→11回棹廊→13丹楓渓の順番で記され、11番目の漱枕居からは舟に乗って移動したと記載されているそうです。かつては舟で優雅に池をめぐって景色を楽しんだということでしょうか。贅沢ですね~。
十三景のみどころ
庭のおよそ六分の一を占める印月池にはかつては高瀬川の水が引かれ、琵琶湖疏水が作られてからは、東本願寺への防火用の水としてためられていたものをこちらの境内にも引き入れていたそうで、現在は鉄管の老朽化で地下水が使われているとのこと。北入り口の小池とは遣水(やりみず・庭園などに水を通し流れるようにしたもの)でつながっています。
池には複数の橋が架かり、回棹廊(東福寺の通天橋を小さくしたような外観の橋で渡れます)周辺に、丹楓渓と呼ばれるカエデが多く植えられた一角があり、紅葉の時期には対岸から橋をバックに美しい景色が広がります。
双梅檐には梅が咲き・傍花閣周辺は桜に包まれ・漱枕居前にはハス・紫藤岸では藤棚が築かれ、四季折々に咲く花々とそれらが池に映った美しい景色、園からは京都タワーも眺めることができます。(傍花閣は両側に階段が付いた楼門造りの珍しい建物で、小さな山門といった感じです)
受付から園内に入ると突き当りにある高石垣には石臼や石橋など様々な形の石が使われていて面白く、源融の供養塔や塩釜の手水鉢・塩釜の井筒などもあります。約27mのイチョウの木(下京区民誇りの木)などなどみどころ満載の都会のオアシスです。
受付口は西側のみになりますのでお気をつけください(以前訪れたときに入口がわからず、周りをぐるぐる歩きました)。
(2024年までは保存修復事業の途中ですので園内で工事が行われていることもあります)。