京都奈良の仏像、特別公開特別拝観とアクセス方法

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青蓮院門跡 秘仏青不動と絶景の青龍殿

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伝教大師最澄が比叡山延暦寺を開く際、山頂に造った僧坊の一つ「青蓮坊」がはじまりと伝わります。
平安時代末期に青蓮坊12世行玄大僧正へ鳥羽法皇が帰依し、皇子が弟子入りしたことで 院の御所に準じて殿舎が造られ「青蓮院」と改称され 以後は皇族・五摂家の子息が住職を務める門跡寺院になりました。

青蓮院門跡のみどころとアクセス

青蓮院門跡といえば、なんといっても青不動(不動明王二童子像・平安時代作)。日本三大不動画(他に高野山の赤不動・園城寺(三井寺)の黄不動)の一つに数えられ、2009年に創建以来初めて境内で一般公開され、現在は将軍塚青龍殿(東山山上の飛び地境内)にて厳重に管理される国宝です。残念ながら本物は公開されませんが4月と11月の満月護摩供には終日復元模写が公開されます。

そして門前と境内には5本の大楠が見事な枝ぶりで参詣に訪れる方を出迎えます。樹齢およそ800年、東山魁夷の絵画や川端康成の小説にも登場し、9歳で青蓮院で得度した親鸞聖人お手植えとも伝わります。(2017年には5本のうち1本が残念なことに枝が枯れ始め、大胆な剪定が施され現在は残った枝から新しい葉が芽吹いている状況です。南北に走る神宮道を北から来ても南から来てもまずこの木が迎えてくれる、そんな感じのする木です)
天明の大火の際に後桜町上皇の仮御所とされたことから「青蓮院旧仮御所」として国の史跡に指定され、その際に御学問所として使用された建物・茶室「好文亭」が再建され、 春と秋の特別公開時にはお点前が楽しめます。

将軍塚青龍殿では清水の舞台の約4.6倍の木製の大舞台から市内を一望できるほか、桜(約200本)・紅葉(約220本)の名所としても知られる枯山水の回遊式庭園(約3000坪)では、四季折々に美しい花々を眺望と共に楽しむことができます。桓武天皇が平安遷都の際に甲冑を着せた将軍の像を埋め、都の安泰を祈ったといわれることから将軍塚と呼ばれるこんもりと丸い塚も現存します。
五山の送り火も良く見えることから人気のスポットになっていて、土日祝には三条京阪駅から山上へバスが運行されていますが、京都一周トレイルと呼ばれる山道を徒歩で登ることもできます。

青蓮院門跡・将軍塚青龍殿共に春と秋にライトアップされ、特に青蓮院門跡では青い光でライトアップされ幻想的な雰囲気の中拝観することができます。
室町時代の相阿弥や江戸時代の小堀遠州作と伝わるみごとな庭園で仏前の結婚式を行うこともできます。

拝観時間・拝観料など

拝観料や拝観時間はそれぞれに設定されていますので、下記の表をご参照ください。

青蓮院門跡(本院)

拝観期間 拝観時間 拝観料など
通常拝観 9:00~17:00(16:30受付終了) 大人500円 中高生400円 小学生200円
春の夜間特別拝観
(ライトアップ)
3月・4月・5月の指定日
18:00~22:00(21:30受付終了)
昼夜入れ替え制
大人800円小中高生400円
3月は東山花灯路の期間中と
前期と後期に分けて4月~5月初旬に開催されます。毎年開催日は変わりますので青蓮院門跡サイトでご確認の上お出かけください
秋の夜間特別拝観
(ライトアップ)
10月下旬~12月上旬(カレンダーによる)
18:00~22:00(21:30受付終了)
昼夜入れ替え制
大人800円小中高生400円
茶室・好文亭
(後桜町上皇御学問所)
春と秋の特別拝観
10:00~15:30
春・春分の日~5月5日までの間の土日祝
秋・11月の土日祝と下旬の2週間程
1000円(別途通常拝観料が必要です)
(お点前は抹茶、または煎茶、菓子付)

将軍塚青龍殿(東山山頂飛び地境内)

拝観期間 拝観時間 拝観料
通常拝観 9:00~17:00(16:30受付終了) 大人500円 中高生400円 小学生200円
4月と11月の満月護摩供
青不動模写公開
14:00~護摩供
(満月護摩供は毎月行われています)
当日は終日復元模写の青不動が公開されています
日時は毎年変わりますので詳細は月護摩のご案内にてご確認の上お出かけください
春のライトアップ 17:00~21:30(21:00受付終了)
昼夜入れ替えはありません
大人500円 中高生400円 小児200円
(開催期間は075‐561‐2345 青蓮院門跡へお問い合わせください)
秋のライトアップ 17:00~21:30(21:00受付終了)
昼夜入れ替えはありません
 

JR京都駅からのアクセス

京都駅から両方訪れる場合はまず青蓮院門跡を訪れてから、さらに山上の将軍塚青龍殿を目指す感じになるでしょうか(もちろん順番はありませんのでお好きな順で)。山上へタクシーを使う場合は三条通りに出ればつかまりますので、三条通りの北側(坂を上っていく方向)で乗車できると良いでしょう。

青蓮院門跡へ

1・市バス5系統(銀閣寺・岩倉行き)で「神宮道(じんぐうみち)」下車して徒歩5分ほど
2・市バス100系統(清水寺・銀閣寺行き)で「神宮道」下車して徒歩5分ほど
3・地下鉄烏丸線(国際会館行き)で「烏丸御池駅」下車して、地下鉄東西線(六地蔵行き)に乗り換え「東山駅」下車して徒歩10分ほど

将軍塚青龍殿へ

1・青蓮院門跡からタクシーで約10分
2・土日祝・11月の毎日・4月~5月のゴールデンウィーク中に循環バス(京阪バス)が運行されています。青蓮院門跡からの最寄りバス停は「神宮道」です。詳細は将軍塚青龍殿交通アクセスページか、京阪バス時刻表をご覧ください。
3・青蓮院門跡から徒歩で30~40分位(山道)

メモ

将軍塚青龍殿の南側には東山山頂公園があり、展望台からはこちらも素晴らしい景色が広がります。
徒歩で登る場合、青蓮院門跡から一番近い登り口は粟田口から尊勝院(青蓮院塔頭寺院)を経るルートでしょう。他に知恩院の大鐘楼の脇をぬけるルート・長楽寺脇(円山公園東側)からのルート・地主神社脇(清水寺)からのルートなどいくつかありますが、いずれにしても途中から山道になりますので、歩きやすい靴でお出かけください。(落慶記念の時に長楽寺脇から登り地主神社脇から帰ってきましたが、個人的にはあまり女性の一人歩きはお勧めしません)。京都一周トレイル東山ルートの一部なのでところどころ道案内はありますが、ルートによってはわかりづらいところもありますので、山に不慣れな方は迷わずタクシーかバスを使うのが良いかと思われます。

青蓮院門跡と将軍塚青龍殿の周辺の地図

青不動と天台宗三門跡

知恩院前から神宮道を北へ進むとほどなく樹齢800年と言われる大きな楠木が見えてきます。
古くより三千院門跡・妙法院門跡と共に天台宗総本山比叡山延暦寺の三門跡の一つとして知られ、現在は天台宗の京都にある五つの門跡寺院「五ケ室」の一つ(残り二つは曼殊院門跡・毘沙門堂門跡) です。江戸時代には仮御所になったことから「粟田御所」とも呼ばれ 敷地内の全域が「青蓮院旧仮御所」として国の史跡に指定されています。

日本三大不動画の一つとされる青不動(不動明王二童子像・他に高野山の赤不動・園城寺(三井寺)の黄不動)が国宝に指定されていて 、2009年に公開されるまでは創建以来一度も境内で公開されたことのない秘仏でした。2014年に東山山上の飛び地境内に建立された青龍殿に安置された際には再び公開されましたが 現在はまた秘仏となり、色鮮やかに復元模写された不動明王画が御前立として祀られています。

青龍殿前に新たに作られた舞台からは京都市内と周りの山々が一望にでき、夜景の美しい絶景スポットになっています。さらに西展望台では一段高いところから将軍塚・青龍殿越しの眺望も楽しめます。
将軍塚は桓武天皇が平安京をこの地に造営することを定めた地と伝わり 王城鎮護のために土で作った将軍の像に鎧兜を着せて埋められていると言われ、国家に大事のある時はこの塚が鳴動したという伝説も残ります。

青龍殿の建物
は、大正天皇の即位を記念して京都府民から浄財を募り、「大日本武徳会京都支部武徳殿」として京都北野天満宮前に建立されたものです。後に京都府に移管され、警察の柔道剣道の道場として使用されていましたが、1999年に閉鎖され解体されたものを移築・再建されたものです。

ご本尊は大日如来の仏頂尊

青不動様が有名ですが青蓮院門跡のご本尊は熾盛光如来(しじょうこうにょらい)と呼ばれる大日如来の仏頂尊(仏様の頭頂に宿る知慧を仏様化したもの)で、この如来はこちらでのみ祀られる仏さまです。 約2m四方の掛け軸の中心に熾盛光如来の梵字「ボロン」が描かれた「種子曼荼羅」です。
秘仏であるため非公開ですが、毎年秋には大法要が行われています。
この仏さまは光そのものとされ、不動明王も炎の光を背負われていることから 光と縁の深い寺院として、春と秋には庭園が 青い光でライトアップされ、幻想的な雰囲気に包まれる中特別拝観が行われます。

山上にも本院にも美しい庭園

山上(将軍塚青龍殿)も本院(青蓮院門跡)も美し庭園で知られています。
本院は龍心池を中心に背後の山を借景とし室町時代に相阿弥が作庭したと伝わる主庭と江戸時代の小堀遠州が作庭したと伝わる霧島つつじが美しい通称霧島の庭のある池泉回遊式庭園です。
華頂殿からは相阿弥の庭を眺めることができ、CMにも使われたことのある見事な景色が広がります。
後桜町上皇が仮御所とされた際に御学問所となった茶室・好文亭(1993年に放火により全焼していますが、忠実に再現されています)の前庭は、江戸時代の茶人・大森有斐作庭と伝わり、、日本画家・上村淳之氏の花鳥図十三面の障壁画が奉納されています。
小御所の建物近くには太閤豊臣秀吉の寄進による巨大な一文字の自然石「一文字手水鉢」が 置かれていて、3月から4月にかけて紅梅が水面に映り込み見事です。
明治26年の火災後には七代目小川治兵衛が手入れや改修を行っています。(小川治兵衛は京都の名だたる庭園を数多く手掛ける作庭家で、平安神宮・円山公園・南禅寺別荘群など国の名勝に指定される庭を数多く残しています)

山上には紅葉(約220本)、桜(約200本)、源平垂れ桃、藤、シャクナゲ、サツキなどが植えられ、枯山水の回遊式庭園になっています。桜や紅葉の名所で見ごろの頃には境内がライトアップされます。内閣総理大臣を務め早稲田大学を創設した大隈重信や東郷元帥(東郷平八郎)お手植えの松(や後継の松)、石柱などもあります。

青蓮院流・書の流派

第17代門主・尊円法親王は鎌倉時代末の能書家(書の達人)です。法親王の興した書の流派は青蓮院流と呼ばれます。江戸時代には御家流と呼ばれ幕府の公文書に用いられ、寺子屋で庶民が学ぶ際の教科書にも使用されたことから広く普及した書体でした。
後に寛永の三筆と称される近衛信伊(このえのぶただ)は青蓮院流を学び、近衛流(三藐院流・さんみゃくいんりゅう)を興したことで知られます。
(寛永の三筆は他に本阿弥光悦・松花堂昭乗です。)

盛りだくさんのみどころ

本院には5本の大楠があります。親鸞聖人お手植えとも伝わる樹齢800年ほどのクスノキで、浄土真宗の祖・親鸞聖人がこの地で得度したことから、剃髪の際の髪の毛を祀る「植髪堂」もあります。童形像は得度された時の姿とされ、その際に馬を繋いだ古松のあった場所に建てられたと伝わります。
親鸞の得度をした第3世門主・慈円(慈鎮和尚)は、小倉百人一首で前大僧正慈円(さきのだいそうじょう じえん)として、また新古今和歌集にも詠まれた歌が残ります。
後に念仏を唱えれば救われるという法然や親鸞の教義を批判するも弾圧からは庇護し、法然の死後に門弟の源智が創建した勢至堂は慈円が法然に与えた院内の一房の跡で、これが知恩院の始まりと伝わります。

皇室ゆかりの寺宝

皇室ゆかりの寺院であることから境内には御所や旧殿から移築された建物が沢山ありましたが、明治26年(1893年)の火災で大部分を焼失しその後復興・移築された建物が多いです。四脚門・叢華殿など火災を免れたものもあります。

火災前の宸殿は東福門院(後水尾天皇の中宮)の御所が寄進されたもので、有縁の天皇の位牌をお祀りし、障壁画浜松図(狩野派)は国の重要文化財です。
華頂殿(白書院)は明正天皇(後水尾天皇の娘で女性天皇)の寄進、長屋門・四脚門は中和門院(御水尾天皇の母)旧殿の門を移築したものです。
小御所は後桜町上皇が仮御所としたもので狩野派の障壁画があります。
叢華殿は勤王志士が国事を相談した維新史跡で、大玄関には孝明天皇ご使用の輿が展示されています。

開く四脚門

近くにある粟田神社の大祭(粟田祭)の神幸祭では、四脚門が開かれ神輿巡行途中の神輿が入御し、神社の宮司によって祝詞が奏上され、門主からは御加持が授けられます。
明治の神仏分離令・廃仏毀釈で、粟田神社の本地仏とされていたお薬師様と十二神将が神社から除かれることとなり、代わって青蓮院でお祀りするようになったため、その仏さまに祭りの報告をするために行われる神事です。
本堂裏のもと青不動様が安置されていた右隣に祀られている、お薬師様と十二神将像がそのお像で、日光月光菩薩・歓喜天像・毘沙門天像・愛染明王像も一緒に祀られています。

多くの火災に遭いながらも今に伝わる青不動様。個人的には本院で拝ませていただいたときの方が感動的でしたが、これだけ火災による被災の多いことを考えれば、きちんとした設備の中で守られていくのは仕方ないかなとも思います。またいつかお会いできる日を楽しみに待ちたいと思います。

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