六波羅蜜寺は醍醐天皇第二皇子(ともいわれる)・空也上人により開創された、西国三十三所第十七番札所で真言宗智山派の寺院です。
上人は当時流っていた疫病を払うため、自ら刻んだ十一面観音像を台車に乗せて市中を引いて念仏を唱えて回り、病人にお茶をふるまい人々を救ったといわれます。
六波羅蜜寺の見どころとアクセス
観光で人気の東山にあり、付近にはあの世とこの世の境「六道の辻」があったとされ、小野篁が地獄へ通ったとされる井戸のある六道珍皇寺、身ごもったまま亡くなった女性が死後に出産した子供を育てるためにお乳の代わりに飴を買い求めたという伝説のあるみなとや幽霊子育飴本舗、檀林皇后が朽ち果ててゆく姿を描いた九相図や地獄絵図のある西福寺など、ちょっと怖いスポットがあります。
拝観時間・拝観料など
境内自由 | 8:00開門~17:00閉門 | |
宝物館 | 8:30~17:00(受付は30分前まで) | 大人600円/中高大学生500円/小学生400円 |
JR京都駅からのアクセスと周辺の観光名所
1・市バス100系統(清水寺・銀閣寺行き)
・市バス110系統(祇園・平安神宮行き)
・市バス106系統(清水寺・祇園行き)
・市バス206系統(三十三間堂 清水寺 祇園・北大路バスターミナル行き)でいずれも「清水道」下車して徒歩5分ほど
2・京都駅からJR奈良線で「東福寺駅」へ、そこから隣にある京阪本線「東福寺駅」で(出町柳ゆき)に乗り換え「祇園四条駅」で下車して1番出口から徒歩9分ほど
六波羅蜜寺と周辺の地図
強烈なインパクト!空也上人像
963年に600人の僧侶を集め金字大般若経を浄写・転読して諸堂の落慶供養を行い これがお寺の創建と伝わります。
後に平家一門の屋敷が構えられ往時は5200を超える館があったと伝わりますが、平家が没落すると兵火によって堂宇はことごとく焼失し、本堂を残すのみとなりました。
その後も数々の兵火によって火災にあうもそのたびに再建され 豊臣秀吉や徳川代々将軍家からも熱い保護を受けました。
明治以降は荒廃していましたが、開創1000年を記念して1969年に解体修理が行われ現在に至ります。
本尊は空也上人が疫病を払うため市中を引いて回ったと伝わる十一面観音菩薩像(国宝・12年に1度辰年に御開帳)ですが、 そちらより有名なのは開山の空也上人の像でしょう。
撞木(しゅもく)で鉦(かね)をたたき踊りながら念仏を唱える踊躍念仏(ゆやくねんぶつ)を行ったとされ、「南無阿弥陀仏」と唱えた一語ずつが6体の仏さまになったといわれる伝説を表す、小さな仏様が口からつながるように出ているインパクト大の像は、歴史の教科書に必ずと言っていいほど掲載されるているので見たことのある方は多いでしょう。運慶の四男・康勝作と伝わります。
空也上人は諸国をまわり布教を行っただけでなく、橋をかけたり井戸を掘ったりとさまざまな社会事業もおこない、市聖(いちのひじり)・阿弥陀聖(あみだひじり)とも呼ばれています。また六斎念仏の祖ともいわれています(蛸薬師にある空也堂では毎年11月第二日曜日に歓喜踊躍念仏が行われ、皇服茶の献茶が行われています)。
正月三が日には一年間の無病息災を願って小梅と結び昆布を入れた大福茶を飲む習わしがありますが、これは空也上人が疫病を払うために市内を回った際に、病人にお茶を飲ませたたところたちまち病が治ったとされることから始まったものと伝わり、村上天皇も疫病にかかりこのお茶で病が癒えたことから、天皇が飲まれたお茶として「皇服茶(おうぶくちゃ)」と呼ばれ、のちに転じて大福茶となったといわれます。
六波羅蜜寺では今でも三が日にこのお茶が振舞われていて(300円・お札付き)、先着3000名に稲穂(福徳自在初稲穂)が無料で授与され、そこに好きな縁起物をつけて(こちらは有料)玄関に飾って一年間の厄除けにすることができることから、初詣に訪れる方で境内はにぎわいます。
宝物館は仏像の宝庫。そして当たると評判のおみくじ
また平清盛像と伝わる僧形の木造、運慶作と伝わる地蔵菩薩坐像・手に毛髪を持ち「鬘掛地蔵」と呼ばれ定朝作と伝わる地蔵菩薩像、運慶・湛慶像と伝わる木造、伝教大師最澄作と伝わる薬師如来像、弘法大師像、閻魔王像、奪衣婆像、四天王像、吉祥天女像など(こちらに挙げたのはすべて重文)、平安から鎌倉にかけての仏像を所蔵しています。 (公式サイトには写真が掲載されています。)
また建礼門院愛用の硯、清盛が天皇に嫁いだ娘に男児が生まれるように祈願し造った泥塔など平家ゆかりの品々もあります。
境内にはほかにも
・縁結びにご利益があるとされる「福寿弁財天」、こちらは日本最古の七福神巡りとされる都七福神めぐりの一つになっています。
・六波羅蜜寺と書かれた石柱に梵字の書かれた円盤がついていて、祈りを込めて三回まわすと願いが叶うといわれる「一願石」
・夫婦円満のご利益があるとされる「十一面観音菩薩」
・金運アップには「銭洗い弁財天」
そしてこちらの人気は開運推命おみくじ。 四柱推命をもとにしたもので生年月日と性別で一年間の運勢を占います。
当たると評判で毎年求めに来る方もいるとか・・・ ご利益盛りだくさんのお寺です。 あっ!清盛像には出世のご利益も・・・人間て・・
本堂修復の際に多数発掘された石仏のお地蔵様や清盛公の塚などもあり、住宅街にひっそりあるように感じる境内は見どころ満載です。