京都奈良の仏像、特別公開特別拝観とアクセス方法

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石清水八幡宮 おみくじ「平」とは

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石清水八幡宮は「やわたのはちまんさん」と呼ばれ親しまれている日本三大八幡宮の一つです。織田信長が寄進した「黄金の雨樋(あまどい)」や左甚五郎作と伝わる「目貫きの猿」などもあり、2016年には本殿などが国宝に指定されています。伊勢神宮と共に二所宗廟(皇室の祖先が祀られた廟)であり皇室からの崇敬も厚く、9月15日に行われる「石清水祭」は三勅祭(天皇の使者が送られる重要な祭り)の一つで、夜中に神事が始まり松明・提灯の明かりで照らされた平安王朝絵巻さながらの行列は、真夜中の「動く古典」と称される雅なものです

石清水八幡宮のみどころとアクセス

「平・たいら」など変わったおみくじでも知られるパワースポットです。
神社のある男山は山全体におよそ2000本の桜があり、毎年3月の春分の日~4月30日にかけて男山桜まつりが行われ、島原太夫道中などさまざまなイベントが開催されます。また男山の竹を電球のフィラメントに使ったエジソンを顕彰する碑があり、生誕祭なども行われています。明治の廃仏毀釈・神仏分離令までは山内に「男山四十八坊」と呼ばれるほど多くの坊(お寺)があり、徒然草に登場する極楽寺(鳥羽伏見の戦いで焼失)、松花堂弁当の名前の由来になった松花堂昭乗(しょうかどうしょうじょう)が晩年を過ごした草庵「松花堂」のあった泉坊などもありました。本殿前参道の石灯籠には「○○坊」と刻まれた物も見られ往時が忍ばれます。草庵「松花堂」のように別の場所に移され現存しているものもあります(跡地と現在地は国の史跡に指定されています。現在地や松花堂昭乗に関しては松花堂庭園・美術館をご覧ください)

お社を創建した清和天皇は源氏一門の祖であり、清和源氏を祖とする武家からの崇敬も厚く、頼朝ゆかりの松楠木正成ゆかりのクスの木、信長寄進の黄金の雨樋をはじめ豊臣家、徳川家も社殿の修復や造営を行い現在の姿になりました。楼門の蟇股(かえるまた)には阿吽の鳩があり、この裏側に「隠し葵」といわれる徳川家の葵の御門が彫金されています。昇殿拝観で社殿内部を拝観すると欄間や瑞籬(みずかき・垣根のこと)に施された、珍しいカマキリやブドウなど150点以上の見事な彫刻などを見ることができます。

八幡さまの神使は鳩とされます。御祭神の誉田別命(ほむだわけのみこと・応神天皇)が国内を平定するときに、水先案内人となったのが鳩であったためとも、宇佐神宮から石清水八幡宮に分霊される際に道案内に鳩が現れたためともいわれ、鳥居の扁額にはじまり境内には至る所に鳩を見つけることができます。またかわいい鳩みくじや鳩の御朱印もあります。
開放感あふれる色鮮やかな神殿で神前式も挙げられ、国宝に指定された由緒ある神社で厳かに人生の門出を迎えることができます。

拝観時間・拝観料など

開門時間は以下の通りで境内は自由

拝観期間 拝観時間
1月1日 0:00~
1月1日~1月19日 不定期
1月20日~3月31日 6:30~18:00
4月~9月 5:30~18:30
10月 6:00~18:00
11月1日~12月30日 6:30~18:00
12月31日 6:30~23:00
御祈祷など 9:00~16:00 (1月1日~1月19日の間は不定期)
昇殿拝観 2月4日~12月31日
11:00~と14:00~の2回
高校生以上1000円
小・中学生500円
通常は上記の期間ですが、変更の場合あり
神職によるお祓い・案内付きで社殿内部が拝観できます。
所要時間は約30分です

JR京都駅からのアクセスと周辺の観光名所

1・JR京都駅からJR奈良線で「東福寺駅」下車して、隣にある京阪電車(淀屋橋・中之島方面行き)に乗り換え「八幡市駅」下車して、目の前にある男山ケーブルに乗り換え「男山山上駅」下車して徒歩6分ほど
2・京都駅から近鉄京都線で「丹波橋駅」下車して、徒歩2分ほどにある京阪電車(淀屋橋・中之島方面行き)に乗り換え「八幡市駅」下車して、目の前にある男山ケーブルに乗り換え「男山山上駅」下車して徒歩6分ほど

ケーブルに乗らず「八幡駅市駅」から一の鳥居をくぐり表参道を使って徒歩40分ほどです(傾斜の急な裏参道もあります)

八幡駅からハイキングコースで山頂へ

八幡市駅から男山山頂までは ハイキングコースがいくつか整備されているので時間があれば気軽にチャレンジできます。特にケーブルカー付近には山桜を中心にソメイヨシノなど200本ほどのがあり(男山全体では2000本ほどあり山上の展望台から楽しめます)3月の春分の日~4月30日まで桜祭りが開催されますので 散策を楽しみながら参拝される方も多くいらっしゃいます。(詳しくは京都府観光連盟のイラストマップをご覧ください。)

周辺の観光名所

京都市内と違って周辺への公共交通機関でのアクセスが良いとは言えませんが、八幡市駅には改札口近くに観光協会が運営するレンタサイクルがあります。駅前・松花堂庭園・四季彩館の三ヵ所で貸出・返却の受付をしていて、周辺の観光には便利です。詳細は八幡市観光協会のサイトをご覧ください。
八幡市駅から北には桜の名所・背割堤が木津川沿いにあります。 駅からはちょっと遠いですが木津川を東へ行くと、増水時に橋げたが流される構造で時代劇にも登場する上津屋橋があります。上津屋橋から徒歩10分ほどには楠木正成が元弘の乱(後醍醐天皇を中心とした鎌倉幕府倒幕運動)で、笠置山へ参陣する際に立ち寄って願文を奉納したと伝わる石田神社があり、近くにある四季彩館では地元の野菜を使ったおばんざいがランチビュッフェで楽しめます(会席料理もあります)
八幡市駅から松花堂庭園・美術館までの間には、記録には残りませんがライト兄弟より早く空を飛んだ・二宮忠八が創建した飛行神社、松花堂庭園にある女郎花塚の悲恋のお相手・小野頼風の塚、紅葉寺とも呼ばれる足利義満の母良子ゆかりの善法律寺、徳川家康の側室お亀の方ゆかりの正法寺、元は男山山上の石清水八幡宮の境内にあって、明治の廃仏毀釈で現在地に移された八角堂があります。(ここに祀られていた13体の化仏を背負う阿弥陀如来坐像(国の重文)は正法寺に移され、現在は指定日のみに公開されています。詳しくは正法寺公式サイトをご覧ください。)

石清水八幡宮と周辺の地図

京都駅から八幡市駅までの乗り換え駅

年間行事

1月1日
~2月3日
初詣期間
1月1日 若水神事 3:00~
歳旦祭 5:00~
歳旦祭に供えられる御神水を
男山中腹の「石清水」を提灯の明かりのみで
汲みに行き歳旦祭に供されます。
1月7日 9:00~ 初穂料1000円
8:45までに本殿の右にあるお札授与所に集合
祭典後に休憩所・石翠亭(せきすいてい)にて特製の七草粥がふるまわれます。
1月15日
~19日
厄除大祭期間 19日には焼納神事が斎行され、古いお札・お守りが焚き上げられます。炎にて清められた厄除餅が先着1,500名の方に振る舞われます。
節分(2月3日)直前の日曜日
(2月3日が日曜日の場合は2月3日に開催)
鬼やらい神事
13:00~/14:00~
2回にわたって、本殿前にて宮中に伝わる古式にのっとり行われます。桃の枝で飾り付けられた桃弓と、桃の枝で作られた桃剣で四方と恵方の邪鬼を払います。「鬼やろう」の掛け声とともに豆が撒かれ、参拝者にも福豆が振る舞われます。
2月1日
2月3日
湯建て神事
12:00~
「石清水」から汲み上げた御神水を大釜で沸かして御神前に献上し、神楽女が笹の葉で釜の熱湯を四方に激しく振り撒きます。その熱湯を浴びると厄除・無病息災・五穀豊穣にご利益があるとされ、多くの参拝者で賑わいます。笹の葉は参拝者に分けられます。
2月11日(祝) エジソン生誕祭
12:00~
記念碑前にて世界の発明王をたたえ、日米両国の国歌奉奏、国旗掲揚が行われます。
3月3日 桃花祭
10:00~
初穂料1000円
9:45までに本殿の右にあるお札授与所に集合
祭典後に走井餅老舗特製草餅桃酒が振る舞われます。
3月21日
~4月30日
男山桜まつり 山内が桜色に包まれますが、とくに神苑の枝垂れ桜が見事です。
期間中には島原太夫道中など各種芸能の奉納や献茶などが行われます。詳しくは石清水八幡宮公式サイトをご覧ください。
5月4日
(雨天翌日順延)
石清水灯燎華(とうりょうか)
19:00~21:00
本殿特別拝観
19:00~21:00(20:30受付終了)
文化財特別公開
(本殿特別拝観申し込み者のみ)
17:00~21:00
恒例の夜間特別拝観です
本殿特別拝観・文化財特別公開共通
高校生以上1000円 小・中学生500円 乳幼児無料
国宝の社殿、参道石灯籠、エジソン記念碑などの境内ライトアップ
祈願ろうそくの献灯 1灯500円
おふだ授与所の夜間開設(期間限定の菖蒲神札の授与、御朱印や石清水灯燎華当日限定御朱印帳・参拝記念品の販売)
茶席接待 一服500円
山上休憩所の夜間営業や弁当の販売などもあります。
5月5日 菖蒲祭
10:00
初穂料1000円
9:45までに本殿の右にあるお札授与所に集合
祭典後に走井餅老舗特製柏餅菖蒲酒が振る舞われます。
5月28日 春季献茶祭(表千家奉仕)
11:00~12:00
茶席
10:00~15:00
茶券 2000円
(献茶祭参列・拝服席・副席①・副席②・玉露接待席・煎茶接待席・男山ケーブル割引)のセット
尺八の調べの流れる中、神前に献茶が行われます。
6月30日 夏越大祓(水無月大祓)
15:00~
初穂料1000円
茅の輪まもりの授与あります。
茅の輪は6月中旬~6月30日まで設置されています
郵送でのお祓いも受け付けています。
7月7日 七夕祭
10:00~11:00
初穂料1000円
9:45までに本殿の右にあるお札授与所に集合
祭典で御神前にお供えされた索餅(さくべい)と甘酒が振る舞われます。
7月中旬の日曜日 高良社 やわた太鼓まつり 宮入
18:30~
徒然草に登場する高良社の例祭です。
約600もの提灯が灯された参道を練り歩く神輿が、高良神社に一堂に会す宮入が最大の見どころです。
9月9日 菊花祭(重陽の節句です)
10:00~11:00
初穂料1000円
9:45までに本殿の右にあるお札授与所に集合
祭典で御神前にお供えされた着綿菓子(きせわたかし・和菓子)と菊酒が振る舞われます。
9月15日 石清水祭(勅祭)
2:00~
詳細は別ページにて
真夜中の「動く古典」と称されるお祭りです。
祭の保護のために奉賛金 5000円(8月中旬から9月初旬)の受付がされています。
10月6日 裏千家献茶祭
10:00~
10月18日
(曜日によって開始時間や日時の変更あり)
エジソン碑前祭 記念碑前にて世界の発明王をたたえ、日米両国の国歌奉奏、国旗掲揚が行われ、カーネーションの花輪が捧げられます。
10月25日 狩尾社祭(とがのおしゃまつり)
10:00~
当日は湯立神事が斎行されるほか、前週の日曜日には地元の子供たちによる子供みこしが町内を練り歩きます。
12月14日 御誕辰祭
10:00~
御神楽
17:00~
御祭神・応神天皇がお生まれになった日とされ、御誕生日をお祝いする御誕辰祭が斎行され、夕刻から御神楽が奉納されます。
12月20日頃
冬至の日
八幡御神矢・神符・守札遷霊祭
ジャンボ御神矢の設置
翌年の元旦より授与されるお守りやお札への遷霊祭が斎行されます。
祭典終了後に男山に樹生する高さ8mの孟宗竹で作られた「ジャンボ御神矢」が本殿前に設置されます。
12月31日 年末大祓
16:00~
夏越の祓後の半年間についた「罪・けがれ」を人形(ひとがた)に移して祓い清める神事です。
郵送でのお祓いも受け付けています。
12月31日 除夜祭
16:30~

石清水八幡宮の歴史とみどころ

日本三大八幡社の一つです(他に 大分県の宇佐神宮・福岡県の筥崎宮(はこざきぐう)または神奈川県の鶴岡八幡宮)
祭神は応神天皇(誉田別命・ほんだわけのみこと)
神功皇后(息長帯比賣命・おきながたらしひめのみこと・応神天皇の母君です)
比咩大神(ひめおおかみ・天照大神と素戔嗚尊のうけいによって誕生した宗像三女神)です

859年 清和天皇の御代に南都(奈良)大安寺の僧・行教和尚が豊前国宇佐神宮で八幡神より「吾 都近き男山の峯に移座して国家を鎮護せん」との託宣を受け、翌年 天皇の命によって社殿が建立されたのがはじまりといわれます。
石清水の名はもともと男山中腹に湧き出る霊泉に由来し ほとりにはこれを祀る石清水寺がありました。八幡神が勧請される以前から鎮座され、現在は石清水社として摂社になっています。

御幸(行幸)と平安京裏鬼門

皇室・朝廷からの崇敬も厚く、天皇の行幸や上皇の御幸は240を超え 伊勢神宮に次ぐ第二の宗廟とも称されました。 都から見て裏鬼門(南西)に位置するため、鬼門を守る比叡山と共に鎮護国家の社として 平将門の乱・元寇など国家の一大事には朝廷からの請願による祈願が行われ これらの災が御神威によって速やかに平定されたとされたことから、 災厄を除ける神としての信仰も広がっていきました。

武家、源氏の故郷

当宮で元服をした源義家(義経や頼朝の祖)が「八幡太郎義家」と名乗ったことは有名で、清和天皇の嫡流である源氏一門からは氏神として特に信仰され全国に八幡神が勧請されていきました。源頼朝は5度参詣したと伝わり鎌倉より6本の松を持参し、帰路にこちらより松を持ち帰って鶴岡八幡宮に植えたと伝わります。この際当地に植えた松のうちの一本が昭和22年まで残り、落雷で焼失したのちに奉納されたのが境内に残る2代目の「頼朝公ゆかりの松」です。

名だたる武将からも信仰され、境内には楠木正成が必勝祈願に奉納した樹齢700年の大楠、織田信長寄進の「黄金の雨樋」「信長塀」などが残り 歴代の天下人による領地朱印状や文書なども数多く所蔵されています。 現在の社殿も徳川幕府による再建で 本社10棟が2016年2月に国宝に指定されました。

「やわたのはちまんさん」として親しまる石清水八幡宮が鎮座する男山は 木津・宇治・桂川が合流して淀川になる地点を挟んで天王山と対峙する位置にあって 古くより京都や大阪への交通の要衝でした。政治上でも重要な地とされ 羽柴秀吉と明智光秀の天王山の戦いや 鳥羽伏見の戦いでは幕府軍の陣が敷かれたことで知られます。

おみくじとパワースポット

「平」(たいら)と「未分」(いまだわかれず)なる変わったおみくじで知られます 平は普通という意味で、未分はこれからの行動で吉にも凶にもなるという意味だそうです。
平安京の裏鬼門を守ることから「国家鎮護」のお社であり、八幡神は「勝負・出世開運の神」、また鎌倉時代の元寇の際に境内から巨大な矢が放たれ元の軍を撃退したとされることから「厄除け開運」のご利益があるといわれています。

境内にある様々なパワースポット

三ノ鳥居近くに石畳の中央に自然石が埋め込まれていて、通称「一ッ石」「勝負石」「お百度石」と呼ばれています。走馬やお百度の起点になった石で勝負事にご利益があるといわれています。
石清水社に沸く霊泉「石清水」は冬にも凍らず、干ばつにも枯れないといわれ、御祭神の天之御中主神は「心願成就」のご利益があるとされています。

楠木正成が必勝祈願に奉納した大楠は「勝負運」、「くじ運」には大扉稲荷社、「神が宿る」とされるご神木・招霊の木(おがたまのき)、徒然草で仁和寺の僧が本殿と間違えてお参りした、高良神社(極楽寺・焼失)には「厄除の木」とされる樹齢700年のタブの木があります。

エジソンが耐久時間の長い 電球のフィラメントになる素材を世界中から求め 男山周辺の真竹にたどり着き これを使った電球が十数年の間アメリカで使用されていたことから 境内隣には「エジソン記念碑」が建立されています。こちらは学問の神様として受験生が合格祈願に訪れ、竹で作られた絵馬が人気です。

御祭神の神功皇后は応神天皇を身ごもったことを隠し戦に出征され、石を帯の中に巻きつけて妊娠を悟られないようにしてお腹を守り、無事に戦に勝利し戻られて応神天皇をお産みになられたとされることから「安産」の神様として信仰されています。また戌の日に妊婦さんがお腹にまく「岩田帯」は八幡市南東部で綿の産地だった岩田が発祥の地といわれ、安産祈願の御祈祷を受けると帯も授与されます。

「八幡御神矢」、「ハトの土鈴」、「七色守」、ハトの手ぬぐいなど授与される記念品もお守りも充実しています。
ここぞという勝負の時にお参りするとご利益ありそうです。

松花堂昭乗と松花堂弁当

松花堂と聞けば「弁当」を思い浮かべる方も多いと思います。十字に仕切られた弁当箱にきれいに盛られた「松花堂弁当」の名前の由来になったのが松花堂昭乗(しょうかどう しょうじょう)です。
昭乗は石清水八幡宮にあった坊の一つ、瀧本坊の阿闍梨だった実乗の下で剃髪し社僧となり、真言密教を極めて阿闍梨(高位の僧)にまでなった人物です。書道・絵画・作庭・茶道・和歌と多方面に才能を発揮した文化人で、松花堂流(滝本流)と呼ばれる書風を確立して、近衛信伊(このえのぶただ)・本阿弥光悦(ほんあみこうえつ)と共に「寛永の三筆」と呼ばれました。

茶人としての昭乗は、所持していた茶道具が「八幡名物」(名物とは由緒のある優れた茶道具の意味)と呼ばれ今でも珍重され、瀧本坊にあった茶室は、懸造り(かけづくり・清水寺のように崖にせり出した造り)の「空中茶室」だったことが、発掘で判明しています。
瀧本坊を弟子に譲り、泉坊に建て隠棲したのが草庵「松花堂」です。二畳の広さの中に茶室・水屋(みずや・茶事の用意を整えるところで一般の台所のようなもの)・おくど(かまど)・持仏堂をそなえたつつましい方丈で、明治の廃仏毀釈・神仏分離令で現在は南にある、松花堂庭園・美術館に移築されていて、男山の草庵のあった場所と、現在の方丈が国の史跡に指定されています。

そして弁当。もともと種入れとして使われていた農具(四つに仕切られた箱)に昭乗が絵を書き漆を塗って、絵の道具やお茶席でのたばこ入れとして使用していたものを、吉兆の創始者が気に入って料理の器として改良しお点前等で供し、昭乗に敬意を払って「松花堂弁当」と名づけたものが広まったものといわれます。松花堂庭園・美術館にある「京都吉兆・松花堂店」では、庭園を眺めながら松花堂弁当や会席料理が楽しめます。

徒然草にも登場

男山の往時を偲ばせる物語が徒然草です。山麓の頓宮隣にある高良神社(こうらじんじゃ)は、地元の産土神として信仰される神社で、鳥羽伏見の戦いで焼失しましたが、再建されて現在に至ります。
徒然草には、仁和寺の僧が年を取るまで石清水八幡宮を参拝したことがないのを心残りに思って一人徒歩で訪れ、山麓の極楽寺・高良神社に参り(こちらを本殿と勘違いし)帰路につこうとすると、山上目指して多くの方が階段を登っていきます。気にはなったものの今回の目的は石清水八幡宮に参拝するなので、それを済ませたのだからと帰ってしまいます。後に石清水八幡宮は山上にあった事がわかり、どんな小さなことでも案内人は大切だというお話です。今では決して大きいとは言えないお社ですが焼失するまでは本殿と見まがうほどだったといわれます。

余談ですが・・・

石清水八幡宮の祭事で度々振る舞われる和菓子のお店「やわた走井餅本舗」さん。一の鳥居前にあるこのお店、元は大津で江戸時代中期に創業し、湧水「走井」を使用して餡餅がつくられたことからこの名がついています。安藤広重の「東海道五十三次・大津宿」にも描かれるほどの名物で、明治にこの地に移ってのち本家は廃業してしまいました。
廃業した本家の跡地は「月心寺」になり、今でも名水「走井」が湧き続けています。月心寺は日本画で有名な橋本関雪の菩提寺であり、塀を隔てた隣にある走井居は関雪の別邸で、名水の湧く井筒のあるのはこちらです。

三大勅祭 石清水祭

9月15日に行われる「石清水祭」は 天皇陛下の勅使からお供え物(幣帛)が供される勅祭で、 葵祭(上賀茂・下鴨神社)・春日祭(奈良・春日大社)と共に三大勅祭に数えられます。 午前2時に始まり松明や提灯の明かりだけを頼りに行われる神輿の渡御など 荘厳な雰囲気の中で執り行われるお祭りですが、参加には5000円の奉賛金が必要です。 古式にのっとった雅なお祭りに興味のある方は社務所へお問い合わせをしてください。 (075-981-3001)

桜で名高い男山ですが、紅葉の季節も常緑樹の緑と赤や黄色のコントラストが美しく、穴場の紅葉スポットになっています。
ケーブルカーから見る紅葉が見事で、撮影スポットとしても人気です。展望台からは晴れた日には京都タワーも見ることができ、京都市内から離れていますが、周辺を観光しても日帰りは十分可能です。時間があれば一日ゆっくり使って観光し、市内とは違った「京都」を味わうのもよいでしょう。

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