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2019年 京都のお寺で涅槃会(お釈迦様入滅の日)を

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涅槃(ねはん)とは悟りの境地を示す言葉ですが、お釈迦さまが入滅(お亡くなりになること)された事を「涅槃に入る」と表現します。旧暦の2月15日とされるため3月に涅槃会を行う寺院と2月に行う寺院があり、各所で涅槃図(ねはんず)が掲げられ法要がとり行われます。悟りを開かれた12月8日の成道会(じょうどうえ)・お生まれになった4月8日の降誕会(ごうたんえ・花まつり)とともに仏教ではたいせつな行事です。併せて寺宝の公開が行われたり、念仏狂言が行われたりもします。
またお釈迦さまのハナクソ(花供曽・花供御・花御供・花供僧などと書かれます)と呼ばれるあられがあります。仏様へのお供えを花供御(はなくご)と言いますが、お正月に仏様にお供えされたお餅を小さく刻んで焼いてあられにしたものを、涅槃会参拝の際に献花や供物のお返しとして配っていたものが、あられの形と(はなくご)という音から「ハナクソ」と揶揄されるようになったともいわれます。いただくと一年間無病息災で過ごせるとされ、授与されるお寺もあります。

2020年の詳細はこちらのページへ

涅槃図とは

お釈迦さまは35歳で悟りを開かれてから45年もの間各地で布教され、80歳で故郷に帰る途中でお布施されたキノコの中毒で亡くなったといわれます。涅槃図は沙羅双樹(さらそうじゅ)の木の下で、頭を北にお顔を西に向け右脇を下にしてた状態で宝台に臥したお釈迦様を、諸菩薩をはじめ十大弟子のほか獣や鳥類まで、生きとし生けるものがとり囲んで悲しんでいる様を表しています。また天からはお母様の摩耶夫人(まやぶにん)がかけつけようとしてるものもあります。
お葬儀の際に故人を北枕で寝かせるのはこの時のお釈迦さまのお姿に由来します。北枕が縁起が悪いといわれて育った方もいらっしゃると思いますが(私もその一人です)、本来縁起が悪いということはなく、お釈迦様と同じ姿で故人を送ることで極楽浄土に迷わず行けるようにとの想いから始まった慣習だといわれ、日本では死は穢れ(けがれ)とされていたことから=縁起の悪いこととされてしまったのだろうといわれます。
なお京都には三大涅槃図と呼ばれる涅槃図を所有するお寺があり、
京都三大涅槃図・泉涌寺・東福寺・本法寺(国の重文)
日本三大涅槃図・東福寺・本法寺(国の重文)・大徳寺
と紹介されています。

ちょっと変わったものとしては、誓願寺で公開される伊藤若冲筆の「果蔬涅槃図(かそねはんず)」(高精細複製品)があります。なんとお釈迦様が大根で、周辺の菩薩や人物などが野菜や果物として描かれています。青物問屋(各地の野菜などを集めて八百屋さんに卸す流通業)に生まれた若冲ならではの作品でしょうか。
また本法寺の涅槃図には作者の長谷川等伯本人が描かれているといわれます。
三大~でなくても素晴らしいものはたくさんありますので、ご自分だけのお気に入りを見つけてくださいませ。

猫がいない?

沢山の動物が描かれるものの多い涅槃図ですが、日本で最古と伝わる和歌山金剛峯寺のものには獅子が描かれるのみです。また通常猫は描かれないといわれますが東福寺・真如堂・本法寺など描かれているものもあり、描かれなかった理由は複数伝えられています。
1・摩耶夫人が空からお釈迦様に薬を投げたのですが沙羅双樹の木に引っかかってしまい、それをネズミが取りに行こうとしたところそのネズミを猫が襲ってしまったために、薬が間に合わずお釈迦様がなくなってしまったから。(投薬の語源ともいわれています)
2・お釈迦様の入滅に際しそのことをはじめに知った牛がいろいろな動物に声をかけその場にかけつけますが、2番目にそのことを知ったネズミは日ごろの諍いから猫には声をかけないように働きかけ、そのために猫は最後に間に合わなかったから。
他にはネズミがお釈迦様の使いだから、当時インドには猫がいなかったからなどなど。

お釈迦様の入滅に集まった菩薩や人々、また動物などの名前が挙げられている大般涅槃経(だいはつねはんぎょう)には猫も挙げられているといわれ、本当のところ猫が描かれなかった理由はよく分かりません。また摩耶夫人が投げた薬が木に引っかかっているといわれますが、これは薬袋ではなくお釈迦様が日常使っていた托鉢用品を包んだ袋で、遊行(ゆぎょう・布教のため各地を練り歩くこと)の途中で入滅されたことを示しているともいわれます。

逆に東福寺に伝わる涅槃図に猫が描かれているのは、画僧・明兆(みんちょう)がこの図を描いているときに足りなくなった絵の具(当時は高価だったようです)を猫が運んでくれ、一気に仕上げることができたたことから描かれたと伝わり、「魔除けの猫」と呼ばれています。(明兆が猫好きだったからともいわれ、真如堂の涅槃図も明兆の作でやはり猫が描かれています)
京都では猫が描かれた涅槃図が複数あるようですので、わかる限りで下の表に併せて掲載していきます。

なお2019年1月10日~3月18日まで第53回 京の冬の旅で、智積院・東福寺・大徳寺・本法寺・妙心寺・東寺・轉法輪寺(てんぽうりんじ)では、寺宝の特別展示などが行われています。詳しくはこちらのページでご紹介していますのでご参照ください。

2月に行うお寺

寺院名 期間・時間 行事
高台寺 2月1日
~28日
涅槃展
お釈迦様の誕生から涅槃までの生涯が描かれた、南北朝時代の「八相涅槃図」が公開されます。(約1.8m×2.4m)
また境内南にある利生堂では2月15日~17日/2月22日~24日の6日間「涅槃まつり」が開催され、期間中の14:00~ 読経と法話が行われお授けものがいただけます(先着順・数量限定)
(利生堂には八相涅槃図の拡大された壁画がお堂内いっぱいに描かれています)
誓願寺 2月13日
~15日
期間中涅槃図が公開され、15日14:00~法要が行われます。
またこちらでは伊藤若冲による「果蔬涅槃図(かそねはんず)」が9日~15日(11:00~17:00)に併せて公開されます(複製図)。涅槃図を野菜や果物で描いたもので、限定御朱印が授与されます。
知恩院 2月13日
~15日
法然上人御堂に涅槃図が掲げられ
日中法要10:30~11:30/逮夜(たいや)法要13:30~14:40が営まれます。
清水寺 2月15日
~一週間
9:00~16:00
山口雪渓筆の約4m×3mの大涅槃図(国の重文)で、経堂にて約一週間公開されます。期間中は入堂自由です。
東寺 2月15日
14:00~
大日堂にて法要が営まれます。
(075-691-3325・東寺)
智積院 2月15日 常楽会(じょうらくえ・涅槃会)
金堂に大きな涅槃図が掲げられ14日にはお逮夜(たいや)法要が、
15日には常楽会発則(じょうらくえほっそく)による法要が営まれます。
(075-541-5361・智積院)
萬福寺 2月15日 大雄寶殿(だいおうほうでん)にて、ご本尊のお釈迦様の前に大きな涅槃図が掲げられます。十八羅漢像がずらりと安置される堂内で、中国明代の作法を継承した梵唄(ぼんばい.・日本では声明)が唱えられ、鳴り物が多く奏でられるにぎやかな法要が営まれます。
開始時間は(0774-32-3900・萬福寺)へお問い合わせください。
百万遍知恩寺 2月15日 写経会の後、衆会堂にて涅槃図が掲げられ法要が行われます。(甘酒のお接待あり)
お参りご希望の方は(075-781-9171/9:00~17:00)へお問い合わせください
※当日は境内で8:00~16:00まで「百万遍さんの手作り市」が開催されます。
大徳寺 2月15日 日本三大涅槃図の一つで狩野永徳の父・松栄の筆と伝わる、約6m×3.5mの大涅槃図が仏殿にて公開されます。
三千院 2月15日
9:00~16:30
宸殿に涅槃図が掲げられ、参拝者には無料で五色豆が授与されます。
(075-744-2531・三千院)
高山寺 2月15日 金堂にて
(075-861-4204・高山寺)
漫画のルーツといわれる「鳥獣人物戯画図」で知られます。また宇治茶発祥の地といわれています。
妙心寺 2月15日 9:00~涅槃図が掲げられ法要が営まれます
(075-461-5226・妙心寺)
轉法輪寺
(てんぽうりんんじ)
2月第4日曜日 11:00~法要
京都で一番大きな木造の阿弥陀如来坐像で知られるお寺で、約5.3m×4mの大きな涅槃図が掲げられます。(が描かれています)
(075-464-2668・轉法輪寺)

※逮夜(たいや)とは葬儀の前夜または、忌日(きにち・故人の亡くなった日)の前日のことです。

3月に行うお寺

寺院名 時間 行事
真如堂 3月1日
~31日
9:00~16:00
6.2m×4.5mの大涅槃図が掲げられます。127種もの動物の中にはも描かれています。拝観入場者には「花供曽・はなくそ」(あられ)が一袋授与されます。
東福寺
現在修復中のため八相涅槃図(国の重文)が代わりに公開されます。
3月14日
~16日
9:00~15:30
(最終日は15:00まで)
京都三大涅槃図の一つに数えられる約12m×6mの巨大な涅槃図が、通常非公開の本堂に掲げられます。(魔除けの猫が描かれています)※残念ながら現在修復中のため2019年は代わりに「八相涅槃図(国の重文)」が公開されます。
天井に描かれる堂本印象の蒼龍図も素晴らしく、期間中には三門と龍吟庵が特別公開されます。
花供御・はなくそ」(300円)の授与や甘酒のお接待あり。
(2019年現在修復中、修復後のお披露目は2023年の涅槃会になる予定です
詳しくは075-561-0087へお問い合わせください)
泉涌寺 3月14日
~16日
9:00~16:30
約16m×8mと日本最大の涅槃図で、元は東大寺に奉納される予定だったとも伝わるほど大きなもので、コの字に掲げられます。
15日には法要が営まれ、「花御供」(500円)の授与あり。
宝物館にも小ぶりの涅槃図がありこちらにはが描かれています。
本法寺 毎年3月14日
~4月15日
(2019年は
3月26日~4月21日です)
こちらの涅槃図は長谷川等伯の手掛けたもので国の重要文化財に指定されています。約10m×6mの大涅槃図で通常は複製品が宝物館に展示されていますが、期間中は真筆(本物)が公開されます。珍しいコリー犬が描かれ、もいます。
また期間中は併せて「春期特別寺宝展」が開催されます。本阿弥光悦ゆかりのお寺で、光悦作庭と伝わる「巴の庭(国の名勝)」で知られます。
清涼寺 3月15日 涅槃会及びお松明式
お松明式はお釈迦様が荼毘に付されたことにちなんだ行事です。京都三大火祭(鞍馬の火祭・五山の送り火)の一つで約7mの松明3本の火の勢いでその年の農作物の豊凶を占い、境内には露店が並びます。本堂には約6m×4mの大涅槃図が掲げられ(が描かれています)、嵯峨大念仏狂言も行われます。
15:30~嵯峨大念仏狂言
19:00~涅槃会
20:00~お松明式
天龍寺 3月15日
(3月1日~23日涅槃図公開)
こちらの「刺繍八相大涅槃図」(約4.3m×3.5m)は刺しゅうで描かれたものとしては国内最大級です。お釈迦様の螺髪は信者の毛髪で刺され、周辺には生まれてから亡くなるまでの伝記が描かれています。もいます。
一休寺 3月15日 南北朝時代、室町時代初期、江戸時代後期の三幅の涅槃図が住職やボランティアのガイド付きで公開されます。
西寿寺 3月17日~23日
お彼岸の1週間
8:00~15:00
江戸時代初期に寄贈された大涅槃図が公開されます。拝観料は志納です
(075-462-4851・西寿寺)
水琴窟の拝観は往復はがきでの要予約ですのでまずお問い合わせください。
本堂には「丈六の弥陀」が安置され、「京都地検の女」のロケ地としても知られます。
樹木葬や散骨など新しい葬送のあり方を追求されているお寺です。
大報恩寺
(千本釈迦堂)
3月22日 14:00~千本釈迦念仏
本堂に涅槃図(国の重文)が掲げられ「遺教経・ゆいきょうぎょう」を誰にでも分かり易く一語一語、訓読みでふしを付けて奉詠する声明がお堂内に響きます。

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